徒然なる恋の話

焔 はる

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九夜【真昼のぬくもり】

9-2

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リビングに戻ると、部屋中が珈琲の良い香りに包まれていた。

「椎娜、おいで。」

ソファーに座った桜太の隣に呼ばれて、淹れたての珈琲に口を付けた。

「・・・美味しい・・・」

「よかった、簡単にだけどサンドイッチ作ったからよかったらどうぞ」


・・・え・・・

サンドイッチと・・・珈琲・・・??


「・・・・・・立派すぎるモーニング・・・・・・ここは・・・高級ホテル・・・??」

もしかしたら、私に都合のいい夢をまだ見ていて、夢の中でここは高級ホテルなのでは・・・??

「・・・(笑)そっか・・・椎娜の高級ホテルのイメージってこんな感じか・・・。今度行こうか、本当の高級ホテル・・・・・・・・。」

「・・・ほんとの、って何・・・?怖い・・・」

桜太の言う、社長が言う高級ホテルって・・・・・・なに??!

未知の世界すぎる・・・・・・

サンドイッチと珈琲がセットで出てくるこの状況と、その・・・か、カッコイイと自覚した恋人のおもてなし以上の高級ホテルってどんな場所なの・・・

「怖くないよ(笑)ツナマヨとハムチーズのサンドイッチだから嫌いじゃないでしょ?」

「・・・嫌いじゃないよ・・・大好きだよ・・・」

・・・感動を通り越して泣きそうになる・・・

「俺とどっちが好き?」

「・・・・・・え~~~悩む・・・・・・」

「そこは桜太って言ってよ(笑)」

「・・・どうしよう、すごく感動してる・・・」

片手で食べれられるのも嬉しいし、自分だって昨夜あんまり眠ってないはずなのに、朝からこんな・・・こんな・・・

「ありがとう桜太」

「どういたしまして」

に~~っこりと笑って、私を抱き締めて頭を撫でた。

「さ、珈琲が冷めないうちにサンドイッチと一緒に召し上がれ」

「うん、いただきます」

私が食べ始めたのを見届けて、桜太は再び新聞に目を通しながらテーブルの上のパソコンを操作し始めた。
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