徒然なる恋の話

八夜【決別は未来への決意】

8-43

甘えて手のひらに顔を寄せて埋める、この仕草は何度か今までにもあったけれど、その度に俺は心臓を掴まれたようにたまらない気持ちになっている。

･･･グズグズに蕩けさせて･･･甘やかしてやりたいのに、可愛すぎて困らせていじめたくなる･･･


･･･はぁ･････････可愛い･････････


「･･･キスだけでこんなに従順になっちゃうのに、どうして素直に言ってくれないかなぁ･･･」

そう簡単に懐きませんよ、そんな素直じゃない椎娜が、キスだけでこんなに甘えたになる。

好きだよ、と強引に口づければ、素直さが前面に顔を出した。


「･･････好き、桜太の手･･･」

「･･･手？」

「･･････触られるのも、キスも好き･･･」

「･･･好きなのはそれだけ？」

「･････････桜太、好き･･････」


･･･あぁ･･･やばい･･･


･･････今日、抱けないんだけど･･･(泣)


好きすぎるこの子、今日抱いてあげられないのに。

･･･可愛いすぎて、俺どうにかなりそう･･･


そっと指で顎先に触れ、ほとんど力を入れずに『上、向いて･･･』と椎娜が自主的に動くよう促して、瞳がぶつかればゆっくりと唇を押し付けるように、触れた瞬間体温さえ伝わるようなキスをした。

無条件にそうすることが当たり前のように、僅かに開いた唇は、俺の侵入を容易く許して絡み合う事、与えられる事を待ちわびているようだった。


「ふ･･･ん･･･」


舌の動きに合わせて呼吸をして吐息を漏らし、離れようとすれば、『もっと･･･』追い縋って舌を絡めてくる。

それが可愛くて、望み通りに舌を深く差し入れて舌のカタチをなぞって、全てを味わい尽くして堪能する･･･。