徒然なる恋の話

焔 はる

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八夜【決別は未来への決意】

8-42

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「ぶっ・・・く、は・・・ふはは・・・っほん、とさ・・・椎娜・・・っ」

「わ!笑わないでよ!!」

「あははっ・・・は、腹いてぇ・・・っだって・・・あ~腹苦し・・・はぁ・・・はぁ・・・だって、車の中ではあの態度なのに。」

素直じゃないにもほどがあるし、可愛いんだけど・・・

「あれは・・・!私が緊張してるだけだから・・・」

「これは違うの?」

「・・・・・・他の人が見たことある姿でしょ。」

「・・・ほんっと、素直じゃないな・・・」

「ちょっ・・・」

椎娜が座るスツールをクルっと回転させ、立ち上がって椎娜の背後のカウンターに両手を着いて俺との間に閉じ込める。

高さのあるスツールに座っても小さい椎娜。

戸惑いが浮かぶ顔を見下ろして、いつもより乱暴に顎を掴み唇を重ねた。

「んぅっ」

少しだけ開いた隙間をこじ開け、割り入れた舌で口内を掻き回す。

抗議の左手が胸を叩いて、ワイシャツをぎゅっと握るけれど、それにすら腹の奥が疼いてしまい、椎娜には、可愛さ余って意地悪をして泣かせたくなるんだよな・・・と、自分の性癖を認めざるを得ない。

ワイシャツを掴む手をそっと握り、手を離すように指を1本1本外していく。

全ての指が離れたら、力なく握られた小さな拳を自分の手で包み込んだ。

「は・・・ゃ、ぅ・・・ン・・・」

舌を撫で、上顎を舐めると、キスについてこられない椎娜の呼吸が乱れて、飲み込み切れない唾液が口内を満たしていくのを啜った。

「・・・椎娜・・・そんなに蕩けた顔して・・・キス気持ちよかった・・・?」

「・・・?」

「かわい・・・」

トロン・・・とした瞳は真っ直ぐに俺を見ているのに、どこか朧気で・・・。

2人の間を伝う糸を俺が断ち切り、頬を撫でる手のひらに椎娜は顔を埋めて口づけた。


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