徒然なる恋の話

焔 はる

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八夜【決別は未来への決意】

8-17~side by 桜太~

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・・・全然気づかなかった。

慣れ親しんで、ずっと椎娜の両親、家族だと思っていた2人は、確かに・・・椎娜の両親そのもので、疑う余地も不自然さもないほど、<家族>だった。

それを考えると<血のつながり>ってなんだろう、とも思えてきてしまうくらいに・・・。

寂しいのに、寂しいという感情に鈍いのだとわかって、それが、記憶にもないほど昔に産みの親を亡くしていたこと、それが育っていく過程でどれだけ愛情を与えてもらい、可愛がられて大切に育てられても、心のどこかに影を落としていたこと。

置いて行かれたことが幸か不幸なことか、椎娜本人も、きっとわからずにいて、不安になったり迷ったりしているんだろう・・・。

それがきっと、立て続けにいろいろな事が起きたせいで不安定になり、溢れるように露呈したのだと思う・・・たぶん。

そして今日、家に着いて一息ついている時。

申し訳なさそうに椎娜が口にしたのは、生理がきたことを謝る言葉。

・・・椎娜にも言ったけど、子供がデキても俺は嬉しいしメリットしかないし、デキてもいいと思ってる。

それは、今じゃないとダメとか、デキたら結婚しようみたいな話では全くないし、椎娜が謝る必要なんて何ひとつない。

けれど椎娜としてはそこに違う意味を感じていたのかもしれない。

家族になる機会の逸したとか、育ての両親には感謝をして愛情はあっても、自分の中での寂しさを埋める何かをずっと探していたのだと思う・・・。


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