徒然なる恋の話

焔 はる

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八夜【決別は未来への決意】

8-15

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「・・・アイツ、ねぇちゃん3人いるんだけど、末っ子で男1人で、いいように使われて女嫌いになって、高校生の時に親父さんと喧嘩して家出して、岐津さんに拾われてんだ。」

「・・・そう、なんだ・・・」

「まぁ、今も反抗期みたいなもんだし、クソガキだけど、たまに気にして実家の様子コソコソ見に行ったりしてるみたいなんだよな。素直に帰れないとこがガキだけど。岐津さんの店手伝ったり、料理は好きでイキイキやってるらしいから、先の事考えても、実家に帰った方がいい、ってのは岐津さんとも話したことがあってさ・・・。だから、もしかしたら、何かきっかけになるかもしれないって、岐津さんからもOK出てるから、椎娜がいいんなら、そうしよっかなって。ナツのリハビリも兼ねてさ。」

そんなやりとりがあったなんて・・・。

それなら私がどうこう言う話でもないし、むしろ私にも、仕事で日中はいなくて夜も遅いのであろう桜太にとっても有難い話だと思う。

「私はいいよ・・・、あと・・・この話は知らなかったことにするね。」

「うん、裏事情は心にしまっておいて。」

「わかった」

「あ、もし、もしも、ナツに何かされたらすぐ言って。それは極刑に処す案件だから。」

「・・・それは・・・ないと思うな・・・ナツさん、桜太にめちゃくちゃビビってたよ・・・?何かあったの?」

「・・・・・・」

その質問には答えず、温かい手で私のお腹をゆっくりさすりながら、あくびをした声と息遣いが耳に届いた。


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