徒然なる恋の話

焔 はる

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八夜【決別は未来への決意】

8-14

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「桜太」

「お。サイズどう?買ってみたらちょっときつかったから、椎娜でも案外大丈夫かなってやつなんだけど・・・って、やべぇ・・・」

「裾長いけど、上Tシャツの上に着てるし大丈夫だった。」

「可愛い、かわいい」

「え、ちょ・・・」

「まぁまぁ、いいから、俺に任せて。」

「わっ・・・」

有無を言わさずに私を寝室に押し込み、あれよあれよとベッドに誘導される。

「・・・桜太・・・?」

「あ~~・・・幸せ・・・」

背後から私を抱き締めて布団を被った桜太の手は、私のお腹に添えられている。

背中もお腹もじんわり、ほんのり温かく、背中からは桜太の呼吸に合わせて上下する胸の動きが伝わってくる。

「あ~~だめ・・・俺の服着てるの可愛い・・・俺の部屋にいるの可愛い・・・俺の椎娜可愛い・・・」

「こないだも着たじゃん」

「こないだとは違う服だし、いいよね・・・なんか・・・しばらく帰らないでしょ?ちょっと、実感して噛みしめてる・・・」

「・・・お世話になります・・・」

「ぶはっ、なんか・・・めちゃくちゃ幸せ・・・お腹痛くて、手も怪我してる椎娜には申し訳ないけど・・・」

「・・・元々料理も苦手な上に、日常生活にも支障出るようになってしまったので・・・とても申し訳ない・・・」

「・・・俺が手をかけていい口実ができたから嬉しいって言ったら引くかもしれないけど、俺、全っ然気にしてないから。本当に。」

私の頭にグリグリと頭を擦りつけて、堅苦しい様子ではなくうわ言のようにふわっとした感じで桜太が呟く。

「あとねぇ・・・俺がいない明日からの日中と夜、ナツに飯の支度、もしくは作ってきてデリバリーしてもらおうと思ってるんだけど、どう??」

「ナツさん??」

「うん、アイツ趣味特技料理だし、結構美味いんだよね。椎娜が寝てる間に岐津さんからも許可得てるから、その方が俺も安心だし(ナツが椎娜に手を出すとも思えないし)。」

「桜太がいいなら私はいいけど・・・ナツさんはいいのかな・・・」

「うん、大丈夫大丈夫。」

そんなものなんだろうか・・・

桜太と岐津さんとの間で話がついていたのなら、私は何も異論はないけど、ナツさんはいいのかな・・・

「ナツは、たぶん本当は実家の洋食屋継ぎたいはずなんだよ・・・。」

「え・・・?」

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