徒然なる恋の話

八夜【決別は未来への決意】

8-13

生理前から特に私の場合は、男という生き物が嫌な時期に突入し、見るのも触れるのも触れられるのも嗅ぐのも距離が近いのも嫌で嫌で、表現がおかしいけれど、『トイレに流れて消えてしまえ、この世から消滅すればいい』と思うくらい嫌悪の対象になる。

文字の如く、生理的に無理な有様。


･･･けれどそれはいつもなら、の話。


それを今回感じることはなく、桜太にその感情が湧き上がることもなくて、むしろ感じたことがないほど性欲が高まっていた気がする･･･。

なんなら、初めてのことで自分でも抑制ができなくて、今考えたら、先日から自分の欲望に抗えないほど、桜太を身体の奥に欲しくなったのも、本能からだったのかもしれない･･･という結論に至った。

「水足りた？」

「うん･･･ありがとう･･･」

気が利きすぎる･･･

「椎娜、寒くない？俺の冬用の部屋着貸そうか？」

･･･確かに･･･いくら部屋が過ごしやすい室温に保たれていても、薄い長袖のTシャツに部屋着のズボンも薄手で、しかも素足･･･

寒かったのはそのせいもあったのか･･･と、痛みで大概頭が働いていなかったと気づく。

「･･･も･･･お･･･」

「･･･？」

「もうしわけ、ないのですが･･･お借りしてもよろしいでしょうか･･･」

「･･･(笑)なんだよそれ･･･(笑)ちょっとまってて･･･(笑)」

桜太と『彼氏と彼女』になってから、情けない姿ばかりで、他に言葉が見つからないくらい、情けない･･･。

桜太がクローゼットから持ってきた部屋着は、先日借りた時とは違う、上下セットのスウェット。

下は履き替えるとして、上は今着ているTシャツの上からでも着られるくらいサイズも大きい。

そしてその方がもっと暖かいだろう。

「ありがとう、じゃあ･･･お借りします･･･」

「ん･･･」

スウェットを受け取り、着替えるべく寝室に移動し、着替えた私はリビングを覗いて桜太に声をかけた。