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八夜【決別は未来への決意】
8-12
しおりを挟むこんなところでも気の利く時永桜太・・・。
女子の状況把握能力値高すぎるのではないか・・・???
バッグだけお願いしたのに、戻ってきた桜太の手にはマグカップ。
「はい、ぬるま湯にしたから薬飲んであったかくしてな。他に何かしてほしい事ある・・・?」
「・・・ごめん・・・申し訳ない・・・」
生理痛が酷くて痛みも我慢できず、小鹿のようにつま先立ちで悶え苦しむ姿なんて、好き好んで彼氏に見られたいわけがない・・・。
ゆうべの八つ当たり、精神状態不安・・・そして私は利き手骨折中・・・しかも、持ってきてくれたのに、薬のパッケージを指を骨折していて上手く割れない・・・っ!
「・・・申し訳ないのですが・・・薬・・・薬のパッケージをパキッてしてくださいませんか・・・」
・・・ほんと・・・情けない・・・
「あ、そっか・・・ごめん、そうだよね、気ぃ利かなくてごめんっ」
「そんなことないよ桜太・・・それ以上察して、私を辱めないで・・・」
桜太の察してくれる能力値がこれ以上上がってしまったら、私の全てが丸見えで、プライバシーなんてなくなってしまう。
言う前に気づかれて、察して動かれたら、上手く伝えられない私の言語は今以上に退化してしまう気がする。
「え、どういうこと?」
「・・・ううん、桜太は今のままでいて、ほしいなってこと・・・」
「・・・?よくわからないけど・・・」
そう言いながら、規定量の2錠をパッケージから取り出し、手のひらに乗せて私に見せる。
それを1錠ずつ口に入れ、持ち手を向けて差し出だされたマグカップを受け取って口に含んだ。
・・・・・・適温すぎて泣けてしまう・・・・・・
適温が、重荷にならない桜太の愛情に似ていて、泣けてくる・・・
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