徒然なる恋の話

焔 はる

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八夜【決別は未来への決意】

8-5

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「・・・私を引き取らなければ、今の両親は自分達の子供を持てたかもしれない。私がいなければ、桜太にも迷惑をかけなかったかもしれない・・・」


自分がいなければ・・・


・・・自分がいたから、産みの両親はいなくなったのかもしれない・・・


次から次に浮かぶ『かもしれない』という可能性。


感謝と一緒にいつも胸にあったのは、申し訳ないという気持ち。


「・・・そうかもしれないね。」


手を握りながら桜太はそれを肯定する。


「椎娜が『かもしれない』とか『たられば』って考える事は、相手がどう思ってるかの想像だよね。だから、否定は出来ない。でも、完全に肯定も出来ないよね。相手がどう考えてるかなんて、本人じゃなきゃわからないんだよ。今のお父さん、お母さんがどんな思いだったのか、どんな思いで椎娜を育ててくれたのか、わからないけどわからないことを椎娜が勝手に決めて否定はしない方がいい。同じように、椎娜がいなければ俺に迷惑がかからなかったかもしれないなんて、俺は、椎娜がいなければなんて思ったこと一瞬もないよ。俺は椎娜を失いたくない、大切にしたい、・・・お父さん、お母さんもそうだったんだろうなって思うよ・・・」


言葉にする言葉を知らない。


自分と関わる人は不幸になる気がして、それはずっと私の中から消えなくて。


「・・・椎娜を引き取って、お父さん、お母さんは大変なこともあっただろうけど、楽しかったことも幸せもあったはずだよ。それは俺だってそうだよ。椎娜・・・知らないの?俺がいつも浮かれてるの。椎娜と付き合えて、彼氏彼女になって、話したらドン引かれるくらい大好きなこと、知らないの??気づかない???だからさ、俺がどう思ってるか、椎娜が疑って不安になったとしてもそれは塗り替えるけど、勝手に決めつけていなくなろうなんて二度と考えないで。それは、怒るよ。」


初めて見た。


淡いブルーの瞳が静かに怒りを宿すのを。


繋いだ桜太の手は熱くて、離すつもりなんてないと絡ませた指をぎゅっと握る。

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