徒然なる恋の話

焔 はる

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八夜【決別は未来への決意】

8-2

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実の両親の死後、引き取ってくれたのは母の妹夫婦。

結婚して3年が経ち、子供を授からなかった2人は、私を養子にして育ててくれた。

実子をもうけるための不妊治療をせずに、行き場のない私を養子にして、実の子のように育ててくれた。


・・・黒木とのことは育ての両親は知らない。

高校卒業の時期や大学進学の時期と被り、一人暮らしのために家を出た私は両親と顔を合わせずに過ごした期間だったからだ。


「・・・隠してたわけじゃないけど、桜太が、この先の事も考えてくれてるなら、話しておくことだと思ったの。」

「・・・・・・カミングアウトが突然すぎるよ・・・・・・」

「ごめんね・・・」

「え・・・今の・・・?あ・・・お父さん、お母さん・・・?おじさん、おばさん・・・?は・・・」

「桜太、呼び方なんて今まで通りでいいよ(笑)」

「あぁ・・・ごめん、ちょっとわかんなくなっちゃった。じゃあ・・・おじさん、おばさんは、椎娜が知ってること知ってるの?」

「もちろん。本人たちから教えてもらったからね。実の両親の記憶なんて全然なくて・・・なんで私は置いていかれたんだろうとか、じゃあなんで産んだの?とかいろいろ考えたけど・・・わからないから、考えるのはやめたの・・・。悲しいんじゃなくて、『わからない』の。」

「・・・そっか・・・」

「ごめんね・・・突然。でも、全部言いたくなっちゃった・・・」

「いや、言ってくれるのはいいんだ、ただね・・・ちょっとさ、どこか寄ろ。」


ちゃんと話を聞きたいから、と桜太は自宅までの道を変更し、辿り着いたのは高台にある見晴らしの良い公園。

「はい。」

自動販売機で飲み物を買ってきてくれた桜太から温かいお茶のペットボトルを受け取った。

桜太はサングラスを外してお茶を一口飲み、身体を半分こちらに向けて思案顔。

車内が広くて、運転席にいる桜太とは少し距離があって、私から手を伸ばしても少し遠い。

怒っているんだろうか・・・

ちらっと目線を動かすと、少し困った顔で笑う桜太が「おいで」と手を伸ばした。

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