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七夜【大切なもの、守りたいもの】
7-31~side by 桜太~
しおりを挟む岐津さんから、「片付いたから」と連絡を受け、明日に回せる仕事は明日に回して、岐津さん宅へ急いだ。
『本当に悪い、先に謝っておく』と再三言われて、電話を代わった椎娜の声を聞いて安心したけれど、『ごめん、桜太』と謝られて・・・一体何があったんだ・・・。
ほっとしたのとモヤモヤと、俺はアクセルを踏み込んだ。
ーーーーーーーーーーーーー
「えぇぇぇーーー!!!!????し、しし、しぃなぁぁぁ~~~~!!!!」
「・・・ははは・・・ごめん・・・」
右手は包帯を巻かれ、支えを当ててグルグル巻き。
「え、な、なに、なな、なん、なに、がっ・・・????」
岐津さんに、椎娜の隣に座るよう促されて腰を下ろし、無事に(????)かどうかはアウトに近いけど、本人が案外ケロっとしているから、まぁ、手は別として、無事なんだろう・・・。
「よかった・・・」
周りに人がいるのも忘れて椎娜を抱きしめた。
「ごめん、行けなくて・・・肝心な時に役立たずでごめん・・・」
「桜太マジ残念だったよ、椎娜ちゃんのあのカッコよさ見れなかったんだもんな」
「は・・・?」
「めっちゃ痺れましたよね。元春さん、大した仕事してないし」
「・・・いや、マジで。」
足を組んでソファーに座る岐津さんは肩を竦める。
ナツに言われても否定しないし、バツが悪そうにしているのを見ると、全く状況はわからないが本当なのだろう。
「あ~・・・っと、なんだったかなぁ~」
わざとらしく額に手を当てて考えるふりをして、それにニヤっとしたナツが、「俺、全部覚えてますよ」と、
「・・・うるさい、黙れ・・・。」
なんだ・・・?何が始まった・・・?
「私が1人でどうにかしようとするのを、きっと桜太は喜ばないっ!桜太はそれをよしとしない!そんな・・・女を差し出して喜ぶような、力で支配して満足して、女を道具だと思ってるような・・・あんたみたいなクズじゃないのよ!!私の彼氏は!!」
ナツの1人再現芝居にコーヒーを噴き出す椎娜。
「ちょっ・・・げほっ・・・なんかっ盛られてる!!」
「いや、こんな感じでしたよ(笑)」
「・・・・・・なにそれ、え、なんでそれで、手がこんなんなってんの・・・?」
椎娜の顔、手、得意気なナツ、ウンウンと頷く岐津さん、壁際に並び、なんとも言えない顔の5人の黒スーツの部下の人達・・・。
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