徒然なる恋の話

焔 はる

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七夜【大切なもの、守りたいもの】

7-21

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昨日桜太の家に送りながら、車中で様子を伺っても、やはり彼女の中に黒木の気配はない。

それどころか、頭の中は桜太でいっぱいだ。

桜太は店に来た時に何やら勘づいたようで、後日連絡を寄越した。

無用な不安と心配を与える可能性を考えたら黙っておくことも選択肢にはあったが、黒木の異常性と危険性、余裕があまりない現状を考え、俺らが探してるのが黒木で、黒木が追っているのが彼女だと教えた。

その後、付き合い出して幾日も経っていないのに、マンションの郵便受けにご丁寧に、差出人が本名の『黒木』と書かれた封筒入りで、彼女とのツーショット写真やら桜太1人もしくは、暁月、蓮、誠司の写真、それに、高校生時代の黒木と彼女との・・写真が入っていたという。


・・・高校時代の写真は、何が写っていたか言葉にするのもはばかられる物だったらしい。


桜太の気性、性格は、彼女に接する時のように穏やかなだけでは決してない。

大切な彼女 あのこにだから、黒木への怒りがあっても押し殺して穏やかに優しく不安を与えないようにするし、自分が動けない今、何かあったら助けてやって欲しい、と俺にも頭を下げる。

臓腑はらわたが煮えくり返って殺してやりたいんだろうな、というのは目に見えてわかるが、それを押し殺してるのもハッキリとわかる。


桜太に写真を渡した時点で、目的は『彼女』か『桜太の金』か。

どちらかだと予想は出来たが、電話での桜太の様子からすると、前者の可能性が高い。

桜太に写真を送って関係を揺らがせて、関係が壊れりゃラッキーだし、そうじゃなくても直接接触しようとしたくらいだ・・・何か彼女にも仕掛けて揺さぶるに違いない。

今日彼女に逃げられたからといって、黒木がこれで諦めるわけでもなければ、何も仕掛けてこないということもないだろう。

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