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七夜【大切なもの、守りたいもの】
7-19
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『わかった。俺が行くわ。椎娜ちゃんにはそれだけ伝えといて。』
「・・・岐津さん、本当にすいません・・・」
『・・・あのなぁ、この件は、うちの組も動いてんの。早くなんとかしねぇと俺も解放してもらえねぇし、親父がうるせぇんだよ。だから、言い方悪いけどこのチャンスで仕留めたいわけ。・・・ってことだから、気にすんじゃねぇぞ。わかったか?俺はそこに向かうから、まずは桜太から椎娜ちゃんに連絡入れて、俺が行くの伝えといてくれよ。じゃないと、行ったはいいけど「桜太じゃないから一緒に行けない」とか言いかねねぇからな。』
苦笑しながら言うのは、昨日俺の家に送ってくれる際、椎娜が警戒するのを見たからだろう。
知っていても、異性に対しての警戒が解れるわけじゃなく、この状況なら尚更他人への警戒が増している可能性もある。
俺は岐津さんとの電話を切り、すぐに椎娜に連絡を入れた。
電話が繋がり、まだそこにいるのかを確認して、岐津さんが迎えに行く事を告げると、言葉少なく「わかった」とだけ返事あって、不安が手に取るようにわかるのに、行って抱きしめてやることも今はできない事に自分へのもどかしさと無力さ、まるで俺が忙しい今を狙ったかのようなその男の行動へ怒りが沸き上がる。
だが今の俺にはこれ以上に何も出来ることがなく、やれることといえば、冷静さを取り戻して、貼り付けたような笑顔で商談に臨むことだけだ。
・・・守りたい女1人自分では守りに行けなくて、一番傍にいてやりたい時に行ってやれない・・・
結局・・・仕事があって・・・っていう、仕事を理由に、言い訳にして・・・
怖いだろうに、不安だろうに、こんな時に傍に行って抱きしめてやれないなんて・・・
悔しくて、情けなくて・・・
気がおかしくなりそうだった。
「・・・岐津さん、本当にすいません・・・」
『・・・あのなぁ、この件は、うちの組も動いてんの。早くなんとかしねぇと俺も解放してもらえねぇし、親父がうるせぇんだよ。だから、言い方悪いけどこのチャンスで仕留めたいわけ。・・・ってことだから、気にすんじゃねぇぞ。わかったか?俺はそこに向かうから、まずは桜太から椎娜ちゃんに連絡入れて、俺が行くの伝えといてくれよ。じゃないと、行ったはいいけど「桜太じゃないから一緒に行けない」とか言いかねねぇからな。』
苦笑しながら言うのは、昨日俺の家に送ってくれる際、椎娜が警戒するのを見たからだろう。
知っていても、異性に対しての警戒が解れるわけじゃなく、この状況なら尚更他人への警戒が増している可能性もある。
俺は岐津さんとの電話を切り、すぐに椎娜に連絡を入れた。
電話が繋がり、まだそこにいるのかを確認して、岐津さんが迎えに行く事を告げると、言葉少なく「わかった」とだけ返事あって、不安が手に取るようにわかるのに、行って抱きしめてやることも今はできない事に自分へのもどかしさと無力さ、まるで俺が忙しい今を狙ったかのようなその男の行動へ怒りが沸き上がる。
だが今の俺にはこれ以上に何も出来ることがなく、やれることといえば、冷静さを取り戻して、貼り付けたような笑顔で商談に臨むことだけだ。
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結局・・・仕事があって・・・っていう、仕事を理由に、言い訳にして・・・
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悔しくて、情けなくて・・・
気がおかしくなりそうだった。
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