徒然なる恋の話

焔 はる

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六夜【求めよ、さらば救われん。】

6-43

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「・・・どこにつけたいの・・・?」


問えば、指先を伸ばして触れながら、


「・・・鎖骨・・・噛みたい・・・」


「ふ・・・いいよ」


椎梛の後頭部に手を添えて引き寄せる。

右に頭を傾けて、空いた左の鎖骨に椎梛の唇が触れ、骨に沿ってカプっと食む。

遠慮がちに前歯で鎖骨を咥え、唇の隙間から舌が這い、チロチロと舐める。

くすぐったいと思っていたら、少し強めに吸うので、後頭部を抑えるように僅かに力を込めた。


「ん・・・」


背筋というか・・・首の後ろっていうか・・・ゾクッとして思わず声が漏れた。


「・・・いたい・・・?」


「うぅん・・・なんか、変な気分になりそう・・・」


椎梛に所有の証をつけられるというのがこんなにドキドキすると思わなくて、様子を伺いながらも吸う力を強めてシルシを残そうとするのも可愛いし、昂らない方が無理だと思う。


今まで、付き合った女にも、勿論セフレにだって、キスマークを残したことも残させた事も無い。


そこには、『椎梛を好き』だという気持ちが消えることなくいつもあったから・・・。


・・・他の女のキスマークなんて、嫌だったんだ・・・。


・・・付き合っててもそんなの、酷い男なんだろうけど・・・。



・・・ちぅっ・・・



椎梛に吸われることに、気持ちよさと心地良さ、疲れに眠気・・・うっとりと目を閉じていて、少し感じた痛みに意識が戻った。


・・・あぶね、気持ちよくて寝そうになった・・・


「・・・ついた」


「いい感じ?」


「・・・ん。上出来。」


嬉しそうに笑うから、


「他のとこは・・・?」


「・・・・・・同じとこがいい。」


「同じとこ??俺が椎梛の鎖骨につければいいってこと??」


それに、ううん、と首を振り、俺の左胸と自分の左胸に手のひらを当てた。


「・・・心臓の上。」


え・・・


・・・なにそれ・・・めちゃくちゃドキドキする・・・。


「・・・椎梛、やばい、天才じゃない・・・?」


すげぇ興奮する。


お互いの心臓って・・・


自分の変態度合いに戸惑いよりも、椎梛の希望と願い、提案に心踊る俺がいる。
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