徒然なる恋の話

焔 はる

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六夜【求めよ、さらば救われん。】

6-29

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「椎娜・・・無理にさせられたことなかった・・・?」


「・・・・・・」


・・・ほら・・・


「・・・ごめんね、大丈夫だから泣かないで・・・」


目を逸らさない。

堤防が決壊した涙の海はボロボロと零れた。

口をへの字に結んで、噛み締めて、我慢しようとしても溢れてくる。


「・・・っ・・・ぅ・・・ん・・・」


「・・・大丈夫、大丈夫・・・」


抱きしめて、頭と背中を撫でたり、ぎゅってしたり・・・


けど、どうしたらもっと1つになれるんだろう、身体を繋ぐだけじゃなくてひとつになれるんだろう・・・肌1枚隔てただけでこんなに遠いのが、もどかしくて辛い・・・。


「・・・おこられ、た・・・機嫌、取れ、って・・・たた、かれる、から・・・しない、と・・・上手く、でき、ないと・・・おこ、られる、から・・・」


・・・やっぱり、ね・・・


「・・・でも、好きだから・・・桜太にはしたかった・・・したかったの・・・っ」


「うん・・・わかってるよ・・・」


「無理、してないっ・・・私が、したかったから・・・っ・・・桜太に、私がしたか・・・っ」


泣きながら必死に訴える。

・・・もう・・・本当に、見ていて苦しくなるくらい必死に伝えようとする・・・


「椎娜・・・椎娜・・・あのね・・・」

「や・・・っあ・・・わ、たし・・・無理してないっ・・・桜太だから・・・っ」

「椎娜・・・!!見て・・・?俺は誰・・・??」

頬を掴んで目をしっかり合わせる。

涙に濡れて、不安に揺れて、過去に怯えている瞳に、少しずつ光が戻り始めた。


「・・・・・・おぅ、た・・・・・・」


「・・・瞳の色は・・・?」


「・・・っ・・・私が好きな色・・・っ・・・」


「ね・・・大丈夫だから・・・俺を見てて・・・」



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