徒然なる恋の話

焔 はる

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六夜【求めよ、さらば救われん。】

6-22

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「・・・抱きしめてほしかった・・・」


「・・・うん・・・」


「好きって、言いたかった・・・」


「うん・・・」


「・・・・・・前にね・・・寂しくなかった、ってあの時言ったけど・・・違うね・・・好きが大きくなると、寂しくて・・・会いたくて仕方なかったよ・・・」


「・・・うん・・・俺も、すごく会いたかったよ・・・」


「・・・ぎゅって、して・・・?ぎゅってしたい・・・」


「ふふっ・・・いいよ、いっぱいしよ・・・」


椎娜の手を放して、両手を広げると、おもむろに椎娜はジャケットを脱いだ。


「椎娜、もういいの?」


「・・・だって、今は桜太ほんものがいるから・・・」


くは・・・だめ・・・可愛すぎて俺、昇天する・・・俺がいないから寂しくて、代用品に包まれてたってことでしょ・・・


「・・・近い肌の距離で抱きしめてほしい・・・」


なるほど・・・ジャケットの厚みが遠く感じるってことね。


・・・あぁ・・・可愛すぎて心臓か胃か・・・どこの内臓かわからないけど、キュッってなった・・・。


ジャケットを脱いでも中の部屋着も俺のTシャツにスウェットで、それもまた可愛い・・・


・・・椎娜ならなんでも可愛いんだな・・・


料理ならなんでも美味いっていう馬鹿舌並みに、脳も感覚も感情も、椎娜ならなんでも許せてなんでも可愛い。


・・・・・・甘やかして甘やかして、寂しくておかしくなりそうになるのも、俺の事を好きすぎて苦しくなったり泣いてしまうのも、『そうなるように』、『俺が』したから・・・。


椎娜が欲しくて欲しくて、満たされたくて仕方なかったものを与えて、逃がさないように、椎娜から俺を欲しがるように、『俺が』したから・・・。


嫉妬深くて、執着心も強くて、俺は自分が愛されるより、椎梛を愛して愛してドロドロにしてやりたいんだ、本当は・・・。


だから、椎娜が思うような綺麗な愛じゃないんだよ、本当は・・・。


欲しがってくれるならとことん与えて、溺れさせて、でも、息が出来るように救えるのも俺だけでいい、って思ってる。


痛みを知ってても綺麗なままの椎娜。


救ってあげるなんて綺麗なものじゃなく、歪んでるのを自覚している俺の愛情。


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