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六夜【求めよ、さらば救われん。】
6-12
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「あぁ、うん、悪いな、いや、全然。簡単についてくるよりよっぽどしっかりしてる。責任持って家まで届けてやるから安心しとけ。あぁ、気にすんなよ、じゃあまたな。」
電話を切ってスマホをしまって岐津さんが私に視線を向ける。
「岐津さん、さっきはすいませんでした・・・よろしくお願いします」
ペコっと頭を下げた。
「気にすんな。女はそのくらい警戒してて丁度いいよ。安心できたか?」
「・・・はい」
「あ~あ、電話なのにイチャつきやがって・・・」
若いな~と拗ねたように笑うので、恥ずかしくて小さくなって謝るしかなかった。
岐津さんが近づくと後部座席のスライドドアが開き中へ促される。
車内には運転席に1人いるだけで他には誰もいない。
「・・・ほんと警戒解かなくて面白いね。」
「すいません・・・」
「いや、いいよ、悪い意味じゃないから。流されないで自分で判断するのは大事だよ。」
嫌な顔1つせず、そう言えるのってたぶんすごいことだと思う。
岐津さんは全く気にしていない様子で自分も座ると、運転席にいる人に「桜太の家」とだけ言った。
ゆっくりと車が動き、テールランプの流れに乗る。
これから賑わう夜の繁華街を横目に、先日1回だけ行った桜太の家へ向かう。
「・・・桜太、気にしてなかっただろ?」
声に顔を向けると、スマホから顔を上げた岐津さんの眼差しは温かい。
「相手の状況も考えないでしつこく連絡するわけじゃないし、それをわかってて桜太は椎娜ちゃんを選んだんだから、我慢するべきところを間違わないで甘えたらいいんだと思うよ、お兄さんは。」
「・・・岐津さん・・・」
「(笑)ほんっっと、桜太絡むと泣き虫だね」
「だって・・・岐津さんが・・・」
「ちょ、ナツ、ティッシュ!」
岐津さんは運転している人に手を伸ばす。
電話を切ってスマホをしまって岐津さんが私に視線を向ける。
「岐津さん、さっきはすいませんでした・・・よろしくお願いします」
ペコっと頭を下げた。
「気にすんな。女はそのくらい警戒してて丁度いいよ。安心できたか?」
「・・・はい」
「あ~あ、電話なのにイチャつきやがって・・・」
若いな~と拗ねたように笑うので、恥ずかしくて小さくなって謝るしかなかった。
岐津さんが近づくと後部座席のスライドドアが開き中へ促される。
車内には運転席に1人いるだけで他には誰もいない。
「・・・ほんと警戒解かなくて面白いね。」
「すいません・・・」
「いや、いいよ、悪い意味じゃないから。流されないで自分で判断するのは大事だよ。」
嫌な顔1つせず、そう言えるのってたぶんすごいことだと思う。
岐津さんは全く気にしていない様子で自分も座ると、運転席にいる人に「桜太の家」とだけ言った。
ゆっくりと車が動き、テールランプの流れに乗る。
これから賑わう夜の繁華街を横目に、先日1回だけ行った桜太の家へ向かう。
「・・・桜太、気にしてなかっただろ?」
声に顔を向けると、スマホから顔を上げた岐津さんの眼差しは温かい。
「相手の状況も考えないでしつこく連絡するわけじゃないし、それをわかってて桜太は椎娜ちゃんを選んだんだから、我慢するべきところを間違わないで甘えたらいいんだと思うよ、お兄さんは。」
「・・・岐津さん・・・」
「(笑)ほんっっと、桜太絡むと泣き虫だね」
「だって・・・岐津さんが・・・」
「ちょ、ナツ、ティッシュ!」
岐津さんは運転している人に手を伸ばす。
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