徒然なる恋の話

焔 はる

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六夜【求めよ、さらば救われん。】

6-9

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お肉がどんどん運ばれてきてテーブルに乗り切らないくらいになり、岐津さんは焼酎、私はウーロン茶で乾杯をした。

炭火で焼き始めるといい香りが広がり、お腹空いてないとかのたまっていたのはどこの腹だ、というくらい音が鳴りそうなのをなんとか誤魔化す。

「焼き方とか気にする?」

「いえ、食べたいのからどんどん焼く派です」

「よかった、じゃあどんどん焼こう」

岐津さんの目がキラッと輝いた。

私も強く頷き同意する。

本当にお腹空いてたんだな、と目に見えてわかる速さで、きっと2人で注文するにしては最初から多めな量の肉がどんどん減ってゆく。

安心して気持ちが楽になったら空腹がやってきた私の胃袋も、目の前の美味しそうな肉と食欲をそそる香りに、いつもよりも多く食べたはずなのに、細身の体型のどこに入るのかと思うほど、岐津さんはその3倍以上の肉をペロリと平らげた。

追加注文の時には、私はお腹いっぱいになり、デザートを注文、岐津さんは肉を4皿注文。

「岐津さん・・・びっくりするほどお食べになりますね・・・」

「椎娜ちゃんもういいの?それとも休憩?」

「いえ、お腹いっぱいです」

「そう?あ、撮った写真桜太に送んねぇと・・・たぶんあいつ気ぃ揉んでるからな。」

「・・・どれ送ったんですか?」

「これ」

岐津さんが見せてくれたのは、

「岐津さん!え、これっ・・・なんでこれ・・・っ」

「え、美味しそうに食べてるでしょ?」

「めちゃくちゃ大口開けてる・・・」

「(笑)大丈夫、可愛い可愛い(笑)あ、返事きた」

「元気そうに食べてて安心した、って。・・・保護者よろしくお願いします、お父さんて・・・あいつめ・・・」

「ふふ・・・」

「・・・会えない時間も元気にいれば、繋がってる2人なら大丈夫だよ」

「・・・岐津さん・・・」

「!ちょ、泣くな・・・!涙腺崩壊は桜太といる時にして!」

「だって岐津さん今日イイことばっかり言う・・・グス・・・名言がすごい・・・」

「俺は名言しか言わないからな」

「ふっ・・・」

「泣いたって自分の女じゃなきゃ触れねぇんだから、ほら、涙拭きな」

テーブルに置いてあるティッシュを差し出してくれる。

「・・・紳士・・・」

「(笑)ほら、涙引っ込んだら送ってくからおうち帰るぞ。」

追加で注文した肉もいつの間にかお腹に納めていた岐津さんが、立ち上がり、満足そうにお腹をさする。


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