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六夜【求めよ、さらば救われん。】
6-6
しおりを挟む「・・・」
「・・・(笑)口開いてる(笑)」
「はっ・・・すいません・・・」
「なに?桜太やめて俺にする・・・?」
あ、これがきっと、女性を虜にする技。
けれどそれに気づいた時には、
「いえ、しません。あ・・・」
即答していた。
失礼だったかな、と伺うも。
「(笑)よかった、それなら大丈夫だよ。」
嬉しそうに笑う岐津さん。
「・・・岐津さん・・・いいお兄さんですね」
「え、悪いお兄さんだと思ってた?」
「いえ、そういうわけでは・・・」
「まぁ、もうそろそろアラフィフだからなぁ・・・お兄さん、でもないけど・・・」
アラフィフって古いかな、でもまぁ、いいおじさん、くらいならいっか、と笑う。
「え!!?」
「そうなの、今48。」
「!!!!」
「大丈夫?顔面のパーツ全部全開だけど(笑)」
「・・・岐津さんが美人な魔王に見えてきました・・・」
「(笑)いいね、美人な魔王・・・なかなかナイスなネーミング。あ、ここの店。」
岐津さんに促されて入ったのは、飲食店が立ち並ぶ一角の1階、一見BARかカフェっぽく見えるお洒落なお店だが、店内に入れば否応にも食欲をそそられる香りがして胃袋は反応してしまう。
「おっ、元春!珍しいな、いつもおひとり様なのに今日は・・・」
「俺のじゃないよ、桜太の彼女」
「なっ・・・お前・・・そんなに女日照りだったのか・・・かわいそうに・・・」
「そうじゃねぇよ、想像力豊かすぎだろ・・・とりあえずいつもの席空いてる?」
「あぁ、空いてるよ」
スキンヘッド・・・
岐津さんとスキンヘッドの店員さんのやり取りに気後れしながら、店員さんに会釈をして岐津さんにひたすらついてゆく。
通路を歩きながらも、それぞれ個室になっていて扉が閉まっているブースは中の様子は見えない。
案内無しでも迷うことなくその席に辿り着いて、対面している席にそれぞれ腰を下ろした。
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