徒然なる恋の話

焔 はる

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五夜【甘い戯れと赦し】

5-46

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「・・・シャワー浴びる」

「うん、洗ってあげるね」

「え・・・やだよ・・・」

「だって、きっと椎娜の指じゃナカまで届かないよ」

「・・・桜太、言い方やだ」

「なんで(笑)あと・・・身体、ちょっとでも体調悪くなったりおかしかったら必ず言って。」

「ん・・・」

運転しながら私の頬に桜太の手が触れる。

それは、さっきまでの笑いあっていたものとは違う、真剣な顔。

「隠さないで、2人のことなんだから。」

「うん、ちゃんと言う。」

満足そうに笑って、手が離れた。

・・・それだけで、それだけが、こんなに寂しいと思うなんて・・・。


桜太と付き合う前までの自分では考えられなかったこと。

付き合うからって必ず身体を繋げなければいけないのか、それはその関係を続けるために『差し出す対価』な気さえしていた。


・・・器として存在して、受け入れるだけ。


だから、桜太と触れ合って、1つになることがこんなに満たされて自分から求めたくなるなんて私が1番驚いている変化。


「・・・お腹つりそう」

「ごめん、もうちょっとだから」

「・・・もういないのに、いた・・ってわかるね・・・」

「・・・だからね、しーちゃん、そういうのは、抱きしめられない時に言ったらいけません。俺、運転中なの。」

「うん・・・わざと。」

「はぁ・・・悪い女・・・」

「・・・褒め言葉?」

「・・・・・・そうだよ、めちゃくちゃ褒め言葉。」

再び頬に触れ、下りた手が私の指に絡む。

「・・・着いたら、絶対俺が洗ってやるから。」

指と指を絡ませて、行為を彷彿とさせるような手つきは先日のレストランでの動きと同じ。


・・・触れても触れても足りないのはきっと、お互いに。


・・・両思い恋煩い、という病の名。
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