徒然なる恋の話

焔 はる

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五夜【甘い戯れと赦し】

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話があらぬ方向に向き始めたので、とりあえず、今日の椎娜の服装でも違和感の少ない、俺のサングラスをいくつか渡した。

・・・誰相手にかわからないちょっとした牽制。

メンズ物のサングラスなんて、分かりやすすぎる牽制だけど、素のメガネで<メガネ女子>姿なんてほんっっとに見られたくない・・・。

必死すぎるのは椎娜には絶対バレたくないけど、本当にいやだ・・・。

「ねぇ・・・変じゃない・・・?サングラスってしたことないからわからないんだけど・・・」

訝しげに鏡の前でいくつかのサングラスを掛けては外し、掛けては外し・・・

今日の服装は、ロングスカートにライダース、足元はブーツ。

「・・・いや・・・」

「えっ・・・ほらぁ、やっぱり変だよね・・・普通のメガネの方がいいよ、きっと」

「いや、想像を超えて似合ってて、なんでサングラスなんて提案したのか・・・早まったなって・・・」 

「もぉぉ~どうしたらいいの、出かけられないよ・・・」

やばい、「お腹空いた」、と段々気が短くなっている。

「・・・ていうか、なんで桜太もサングラスしてるの?」

「え?なんか、ペアルックっぽいでしょ?」

掛けていたサングラスを少し下げて椎娜の反応を伺うも、

「・・・やだ」

「・・・だめだった?」

「・・・どこ見ていいかわからない」

「そんなに・・・?」

・・・どうやら、俺のサングラス姿にはご不満な模様・・・

仕方ない・・・外して行くか・・・

「だめなんだってば・・・っ・・・何やってもカッコ良く見えるから・・・目が馬鹿になってるの!!」

・・・・・・そっち?!

「・・・椎娜・・・」

「!ちょ、やだ、近づかない・・・っっ!ぎゃー!それ!心臓に悪い!!無駄に色気出さないで!!!」

いつぞやと同じで覗き込んで、「おねぇさん、かれしいるの?」。

両手を椎娜の脇、洗面台に着いて、膝を割り、唇に触れるか触れないか・・・

「椎娜・・・目、開けて」

「~~~~!!!むり、むりぃぃぃ・・・」

「っくは・・・っあはは・・・可愛すぎ・・・」

「んぅ・・・」

リップの色移りを気にせず唇を重ねて、ペロッと舌で舐める。

「ほら、行こ。」

身体を離して頭を撫でて、玄関へと向かう。

後ろからは不満げに文句が背に浴びせられ、それでも、


「・・・ばか、ばか桜太・・・好き・・・」


・・・はぁ・・・可愛さたまらん・・・


下がった目元を隠してくれるサングラスを外さないでいてよかった。

感じる空腹感を満たすのは、遅い朝食か、愛しい人か・・・。


ひとまずは、空腹で気が短くなる椎娜かのじょの機嫌を平常時に戻す為、オシャレなカフェにでも行こうか。


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