徒然なる恋の話

五夜【甘い戯れと赦し】

5-27

｢･･･どうしよう･･･やっぱり目が腫れてる･･･｣

着替えてメイクをしている椎娜が、絶望的な声のトーンで呟いた。

｢･･･コンタクトじゃなくてメガネにしようかな･･･｣

｢えっ｣

思わず声が出た。

｢･･･え、メガネ、だめ･･･？｣

･･･違う、違うよ･･･

メガネが嫌なんじゃないんだ･･･

｢いや･･･その･･･なんていうか･･･｣

｢･･････なぁに｣

｢･･･っ･･･見せたくないっていうか･･･｣

｢？･･･似合わない？｣

違う･･･！

そうじゃないんだよぉぉ･･･！！

｢･･･メガネは、家でコンタクト外した時しかかけないでしょ･･･｣

｢うん･･･基本的には。｣

｢･･･見せたくないんだよ･･･レアだし･･･可愛いし･･･プライベート感があってちょっと無防備っていうか･･･、えろさもあって･･･なんか、萌える･･･｣

｢･･････｣

｢･･････｣

生まれる沈黙。

･･･まぁ、そうですよねぇ･･･

引き気味なのわかるよ･･･。

でもやなんだよ･･･！

俺にだって葛藤があるんだよ･･･。

｢･･･！｣

･･･ん？

｢･･･そんな目で見てたの？｣

｢･･･可愛いって思ってたよ｣

｢～～～！やだ、もうメガネしない･･･｣

｢！！なんで～～！！どうして･･･？！密かな楽しみ、癒しだったんだよ俺は･･･！！｣

｢だっ、そん･･･っ･･･メガネをいかがわしい目で･･･！｣

｢なっ！メガネの回し者みたいに言ってるけど、俺が言ってるのは＜椎娜のメガネ姿＞だからね！誰でもいいわけじゃないよ！！｣

｢！！～～！！｣

口をワナワナさせて、アイメイクと戦っていた椎娜が背後から覗き見ていた俺を振り返り、顔を赤くしている。

｢なんならほんと、メガネしたままの椎娜を１度抱きたい･･･無防備エロス可愛すぎてやばい･･･｣

｢～～っ･･･！！桜太！！｣

｢！･･････すいません｣

･･･誰にも見せたくないことに必死になり、心の声が音声化されてしまい、怒られた･･･。