徒然なる恋の話

五夜【甘い戯れと赦し】

5-20

胸元から見上げる瞳。

確かめるように口づけて、それだけで伝わる愛しさを込めて口づけて、顎に添えられた指先だけは『逃がさない』という意志を持って、唇が深く重なる。

｢ん、ぅ、ン･･･｣

呼吸する隙も与えてはくれない。

侵すように、犯すように、上塗りし、蹂躙するように口内を蠢いて、舌を捕まえて絡めたら逃がさない意志を持って。

意志はきっと覚悟で、荒くぶつける口付けは決意で、熱を持つ吐息は･･･



｢･･･好きだよ｣


翻弄されるキス。

離れた唇から繋がる糸はぷつりと切れ、私の唇をひと舐めし、自分の唇を指で拭った姿に息を飲む。


｢･･･愛してる｣


｢っ･･･｣


｢･･････安っちぃ言葉だけど、それ以上は行動で見せるから、信じて。｣



涙腺の崩壊。

堪えようと口を結べば｢傷になるから｣となぞる指先は優しくて、力を入れた眉間には｢皺が痕になるよ｣と口付けが降る。

涙は後から後から零れて、桜太が苦笑しながら拭ってくれても次から次へと頬を伝う。

｢ぅ、ぁ･･･うぁぁ･･･ふ、ぇぇ･･･｣

｢もぉ～子供みたいな泣き方｣

と微笑はいつしか笑いに変わり、それこそ子供をあやすように、

｢よしよし、しぃちゃん、ほらほら、なんでもいいからお話し、してみよ、ね？｣

と、なんでこんなに甘やかしてくれるのか、甘やかされていいのかわからなくて、わからない自分がわからなくて、涙でグシャグシャ、鼻詰まり、支離滅裂もいいところ、目が合えば、｢･･･ん？｣と、何このカッコ良さふざけてる、と心臓はハネるし、落ち着かなさすぎて、また泣いた。