徒然なる恋の話

焔 はる

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五夜【甘い戯れと赦し】

5-2

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・・・重い・・・


・・・苦しい・・・


「ん・・・あ・・・っつ、い・・・」


寝返りを打つ瞬間、拘束されて動けない重苦しさに目を開けると、引き締まった筋肉の筋が目の前にあった。

背中から回された腕の中に抱かれ、骨張った手がシーツに触れている。

カーテンの隙間から白んだ光が差し込み、遮光カーテンが明るさを遮ってくれていたお陰でよく眠れた室内に、朝の訪れを知らせてくれる。

力の抜けた重い腕の中で、桜太を起こさないように起き上がるのは不可能だと諦めて、ゆっくり身体を反転させて、桜太の顔が見えるよう向き直った。


・・・本当によく眠ってる・・・

・・・あ、ヒゲ・・・

顎に短くチクチクしたヒゲが生えてる。

濃いわけじゃないけど、よく見たらチクチクしてるのわかる・・・

唇は・・・厚すぎなくて、小さすぎたりもしなくて・・・好きなカタチをしている。

・・・肌荒れやニキビ痕もなく、綺麗な肌だし、触っているのが気持ちいい。


「・・・おはよ。」

「!」


パチっと開いた瞳。

触れすぎたせいで結局桜太を起こしてしまった。


「・・・しぃな・・・起きるの早いね・・・」


まだ眠そうに目を瞑り、私の額に頬を寄せてくる。


「ごめん、起こしちゃった」

「ふふ・・・触りたかったの・・・?」


気の抜けたぼんやりとした喋り方に甘さを乗せて、桜太の腕の中に身体を捕えられる。


「・・・ヒゲ・・・珍しくて・・・」

「ヒゲ・・・?あぁ・・・朝だからね・・・」

「ちょ、いたた、いたたたたッ、や、だッ・・・もぉ!」

「あははは」

桜太はザリザリした顎をワザと顔に擦り付けてくる。

もう・・・っ

本当に痛い・・・!

「~~!ヒゲッヒゲッッ!痛い!」

こめかみにザリザリされた感触が残り、私は転がるように腕から逃げ出し、桜太の手が届かない場所まで距離をとり、擦りむいてやしないかと手でさする。


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