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五夜【甘い戯れと赦し】
5-1~side by 椎娜~
しおりを挟む・・・いなくならないで・・・
なぜそんなことを口走ったのか。
幸せなのに夢に堕ちる寸前、手離したくないと思ったら、初めての感情が口をついて零れた・・・。
心と身体が重ならないまま抱かれ、性行為自体に、「あぁ、なんて滑稽なんだろう」、そんな感情しか感じたことがなくて、荒い呼吸で腰を振り、胸を好き勝手に揉んで身体は揺さぶられて・・・身体を繋げる意味もわからなくて・・・いつも心は冷えていた。
付き合っている期間は”求められたら受け入れなきゃいけない”そんな空気や、相手の態度や言葉・・・。
そういうものなのか・・・と、思っていた。
彼氏という立場に変わってから、桜太は殊更甘い。
どこまで感情を現していいのか、甘えていいのか、好きを伝えていいのか、僅か1日で変わった関係に、短期間で好きが生まれたなんて単純すぎるんじゃないかとか、合わせてると思われたらとか、本当に桜太の事を好きなのかな・・・と何度も自問自答をして、行き着くところは胸がきゅうっと痛くなるほどの愛しい笑顔が浮かんで。
正直なところ、心を解放していいラインと、飛び込んでもいい距離感が本当に分からなくて、それでも問いかけられたら「伝えてもいいんだ」と思えて、言葉にすると胸が苦しい。
”好き”を真っ直ぐに伝えてくれる桜太を、真っ直ぐに見て、”好き”を伝えるのが、受け取って嬉しそうに笑むのが、嬉しくて、苦しい・・・。
虚しさや寂しさしかなかった、身体を繋げる行為も、恥ずかしすぎるくらい感じてしまうし、身体の奥から堪えきれない気持ちよさが押し寄せて、わけが分からなくなるほど濡れて、溢れてしまう。
それが、幸せなのだとしたら、甘やかされて、無条件に与えられる愛情に、私の心臓は耐えられるのだろうか・・・。
まだ暗い、太陽が昇るには早い時間。
目を開ければ、長いまつ毛に目元の泣きボクロ、綺麗な顔がそこにあって、少し開いた唇にそっとキスをした。
年下の幼馴染が、年下の彼氏になった途端、目が馬鹿になってしまって、カッコよく見えると心臓が痛いし、彼女として可愛がられたら苦しくて。
・・・愛しくて、桜太が可愛くて、私は死んでしまうかもしれない・・・
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