徒然なる恋の話

焔 はる

文字の大きさ
上 下
145 / 617
五夜【甘い戯れと赦し】

5-1~side by 椎娜~

しおりを挟む

・・・いなくならないで・・・


なぜそんなことを口走ったのか。

幸せなのに夢に堕ちる寸前、手離したくないと思ったら、初めての感情が口をついて零れた・・・。




心と身体が重ならないまま抱かれ、性行為自体に、「あぁ、なんて滑稽なんだろう」、そんな感情しか感じたことがなくて、荒い呼吸で腰を振り、胸を好き勝手に揉んで身体は揺さぶられて・・・身体を繋げる意味もわからなくて・・・いつも心は冷えていた。

付き合っている期間は”求められたら受け入れなきゃいけない”そんな空気や、相手の態度や言葉・・・。

そういうものなのか・・・と、思っていた。



彼氏という立場に変わってから、桜太は殊更甘い。

どこまで感情を現していいのか、甘えていいのか、好きを伝えていいのか、僅か1日で変わった関係に、短期間で好きが生まれたなんて単純すぎるんじゃないかとか、合わせてると思われたらとか、本当に桜太の事を好きなのかな・・・と何度も自問自答をして、行き着くところは胸がきゅうっと痛くなるほどの愛しい笑顔が浮かんで。

正直なところ、心を解放していいラインと、飛び込んでもいい距離感が本当に分からなくて、それでも問いかけられたら「伝えてもいいんだ」と思えて、言葉にすると胸が苦しい。


”好き”を真っ直ぐに伝えてくれる桜太を、真っ直ぐに見て、”好き”を伝えるのが、受け取って嬉しそうに笑むのが、嬉しくて、苦しい・・・。

虚しさや寂しさしかなかった、身体を繋げる行為も、恥ずかしすぎるくらい感じてしまうし、身体の奥から堪えきれない気持ちよさが押し寄せて、わけが分からなくなるほど濡れて、溢れてしまう。



それが、幸せ・・なのだとしたら、甘やかされて、無条件に与えられる愛情に、私の心臓は耐えられるのだろうか・・・。



まだ暗い、太陽が昇るには早い時間。


目を開ければ、長いまつ毛に目元の泣きボクロ、綺麗な顔がそこにあって、少し開いた唇にそっとキスをした。


年下の幼馴染が、年下の彼氏になった途端、目が馬鹿になってしまって、カッコよく見えると心臓が痛いし、彼女として可愛がられたら苦しくて。


・・・愛しくて、桜太が可愛くて、私は死んでしまうかもしれない・・・


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

処理中です...