徒然なる恋の話

焔 はる

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四夜【藍の深淵】

4-17~side by 椎娜~

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謎な仕事と、車に詳しくない私でもわかる高級感と存在感溢れる外車、そして。


「どうぞ」


と招かれたのは、目が点になり口がポカーンと開いて戻らない、都心のタワマンの一室。

・・・こんなマンション、テレビCMとか、不動産雑誌の特集でしか見たことない・・・

正直、どうやったらこんな所に住めるんだろうって、実際お昼のワイドショーの特集を見ながら本気で思っていたよ・・・


・・・この部屋に住んでる桜太・・・

どんな気持ちで私の部屋に来ていたのだろう・・・


「スリッパ、それは椎娜用ね。新しいから綺麗だよ。」

玄関に揃えられた薄いピンクのスリッパ。

・・・ポンチョもスリッパも、わざわざ用意してくれたんだ・・・

気にしてくれることが嬉しくてきゅんとした。

たまに仕事仲間の男連中が来る以外は女性は来たことがない、と改めて言いながら、桜太はジャケットを脱いでソファーの背もたれに掛け、寒くなかったらポンチョも預かると言って手を差し出した。

あ、と思ってまだ緊張の残る手でボタンを外そうとするけど、指先が震えてしまって上手くいかない・・・

・・・恥ずかしい・・・

とても恥ずかしい・・・

正面に、ふっと影が落ちる。


「・・・椎娜・・・まだ、緊張してる・・・?」


ボタンに触れ、丁寧に外してゆく指に、短く切りそろえられた爪が綺麗な形をしてるな・・・と見惚れてしまった。


「椎娜?」


「あ、ごめ、ん・・・」


「ふっ・・・何を謝るの。椎娜は俺に謝ることは何も無いし、何も変えようとする必要もないよ。」


ポンチョが身体から離れ、そのままでいて、と抱きしめられた。


髪にキスをされて、私を抱く腕に力がこもる。


「そうだ、先にお風呂入る?その後にゆっくりしようか」


お風呂、用意してくるねと桜太が離れて、私はその場へ残された。



ソファーに置かれたお泊まりセット。



・・・今夜、私にはミッションがある・・・。



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