徒然なる恋の話

焔 はる

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四夜【藍の深淵】

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椎娜と再会したあの日以降、俺は大学受験の為に勉強に打ち込んだ。

遊び歩くことのなくなった俺を、両親は心底不思議そうな顔で見るし、真相を知っているのであろう結唯は、「単純・・・」と呆れて笑う。

漠然と、椎娜に似合う男になりたい、という思いが生まれて、大学は経営学部を受けた。


受験を控えた冬、年末も年末、年越しの時期に俺は熱を出した。

両親と結唯は、母方の実家に前日から行っていて、家には俺1人。

朝起きた時から怠かった体は、時間と共にどんどん熱が上がって、38度を超え、たまに39度台になったりしながら、下がる気配がなかった。


とりあえず家にあった市販の風邪薬を飲み、重い体をベッドに沈めて眠る。


それを繰り返していた。


・・・ひんやりとした何かが額に触れた。


冷たさが心地よくて、深く息を吐いた。


薄らと目を開けると、床に膝を着いて目線を同じ高さに合わせた椎娜がいた。


「よかった・・・生きてた・・・」


「・・・し・・・ちゃ、ん・・・」


「熱、高いね・・・水分取ってる?」


額や頬、首に手を当てて確認しながら、椎娜は部屋を見回して、テーブルに転がった市販の風邪薬に気づいた。


「薬、は飲んだ・・・」




情けない話俺は、この後椎娜の父親に車で休日診療の病院に連れて行ってもらい、インフルエンザではないと診断され、薬を処方されたが、軽い脱水を起こしかけていたらしく、点滴を打たれて、水分はきちんと取るように注意されて帰宅した。




椎娜が作ってくれたお粥を少量を食べて、処方された薬を飲み、ポカリスエットを飲んで、傍にいる椎娜とひと言ふた言言葉を交わして、俺は眠りについた。



次の日には、薬が効いて熱も37度くらいまで下がり、かなり気分もよくて体も軽くなっていた。

様子を見に来た椎娜からは、俺を心配した両親が椎娜宅へ鍵を預けていたと教えられた。

1日中電気もつかないし、ひっそりしているのを不審に思って様子を見に来たら、案の定俺は熱を出して寝込んでいたというわけ・・・。


情けなさすぎる・・・。


けれどこの一件があって、時折椎娜は様子を見に来るようになり、顔を合わせる機会が増えた。
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