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四夜【藍の深淵】
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付き合い始めたのだから、頭ごなしに拒否はされないだろうと、家に来るか聞けば、少し考えて「うん、行く」と言葉が返ってきた。
そうしたらなんだ・・・
家寄るから、必要なもの持っておいで、という言葉に何を感じたのか、
「なんか、慣れてる」って。
・・・・・・
遊んでるかと思ってた、っていうのは、ご近所さんとして俺も椎娜も実家にいた、俺が高校生時代、確かに、椎娜が言うように「俺は遊んでいた」のだろう。
なんていうか・・・
思春期故の親への反抗と、その時は知らなかった言葉だったが今思えば、「据え膳食わぬは男の恥」に当てはまる。
なぜか女子の先輩から誘われることが多くて、云わば<据え膳>。
美人で後腐れなくて、気持ちよければいい、そんな爛れた性活の高校生だった。
その頃は、家に家族といるのが嫌だったり、椎娜の家族と<仲良し>な関係がなぜだかわからないけど嫌で、一人暮らしで泊めてくれる女がいたら数日家に帰らなかったり、男友達の家に泊まったりして、家に帰らない時もあった。
椎娜とも全然顔を合わせなくなって、二家族で旅行となっても俺だけ不参加で、俺の妹の結唯から、「しぃちゃんからお土産預かったから」と、沖縄土産の星の砂と高さ3cmくらいのシーサーの置物をもらった。
その後1度、女の家へ向かう途中の俺は、家の前で椎娜と久しぶりに顔を合わせた。
・・・たぶん、夕暮れ、だな・・・
オレンジ色の景色と、佇む椎娜。
それだけが鮮明に映像として記憶に残っている。
季節も明確な時間も・・・いつだったかもハッキリ覚えていないが、アルミ素材の家の門が閉まる音が人影のない往来に響き、何も言わずに佇む椎娜と視線がぶつかり。
・・・ドクン・・・
ひとつだけ、心臓が大きく鳴った。
そうしたらなんだ・・・
家寄るから、必要なもの持っておいで、という言葉に何を感じたのか、
「なんか、慣れてる」って。
・・・・・・
遊んでるかと思ってた、っていうのは、ご近所さんとして俺も椎娜も実家にいた、俺が高校生時代、確かに、椎娜が言うように「俺は遊んでいた」のだろう。
なんていうか・・・
思春期故の親への反抗と、その時は知らなかった言葉だったが今思えば、「据え膳食わぬは男の恥」に当てはまる。
なぜか女子の先輩から誘われることが多くて、云わば<据え膳>。
美人で後腐れなくて、気持ちよければいい、そんな爛れた性活の高校生だった。
その頃は、家に家族といるのが嫌だったり、椎娜の家族と<仲良し>な関係がなぜだかわからないけど嫌で、一人暮らしで泊めてくれる女がいたら数日家に帰らなかったり、男友達の家に泊まったりして、家に帰らない時もあった。
椎娜とも全然顔を合わせなくなって、二家族で旅行となっても俺だけ不参加で、俺の妹の結唯から、「しぃちゃんからお土産預かったから」と、沖縄土産の星の砂と高さ3cmくらいのシーサーの置物をもらった。
その後1度、女の家へ向かう途中の俺は、家の前で椎娜と久しぶりに顔を合わせた。
・・・たぶん、夕暮れ、だな・・・
オレンジ色の景色と、佇む椎娜。
それだけが鮮明に映像として記憶に残っている。
季節も明確な時間も・・・いつだったかもハッキリ覚えていないが、アルミ素材の家の門が閉まる音が人影のない往来に響き、何も言わずに佇む椎娜と視線がぶつかり。
・・・ドクン・・・
ひとつだけ、心臓が大きく鳴った。
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