徒然なる恋の話

焔 はる

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四夜【藍の深淵】

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公園のようにベンチがあったり、整備された遊歩道として、私たちの他にもチラホラ人がいる。

歩き始めると目も慣れてきて、街の灯り、綺麗な夜景スポットの灯りがあって思ったほど漆黒に包まれてはいなかったけれど、波の音、風の音が夜闇に響くのが少し怖い・・・

無意識に桜太の手を握る力が強くなった。

「どうした?怖い?」

「・・・少し」

「大丈夫だよ」

そう桜太が笑うと大丈夫な気がして来るから不思議。

海沿いを歩きながら、そういえば、風が強かったのにあまり当たらないな・・・と思ったら、桜太が風向きを見て風除けになってくれていた。

高い位置にある桜太を見上げると、桜太は気づいて微笑む。

「・・・桜太・・・」

「ん?」

「・・・なんか、どうしたの?」

「えぇっ??(笑)何が??」

「・・・・・・こないだ・・・1週間前・・・その・・・ぇっち・・・して、付き合うことになって、なんか・・・ドキドキする・・・桜太がカッコよくて・・・困る」

「・・・椎娜・・・困るよ・・・」

立ち止まり、手を引いて腕の中に私を抱きしめた。

「・・・セックスから、身体から始まっちゃったようなもんだから、ちょっと恋人っぽいことしたかったのに、あんまり可愛いこと言われると困る・・・」


・・・抱きたくなる。


頭に顎を乗せて呟いた桜太の低く小さな声は全身を駆けて、桜太を受け入れた1番深い場所がきゅぅっと疼いた・・・。


・・・心臓がうるさい・・・


ドキドキしすぎて具合が悪くなりそうなほどに・・・。


もぞもぞと動いて見上げると、引き寄せ合うように唇が重なった。


ゆっくり堪能するように、存在を確認するように舌を絡め、縋るように身体を擦り寄せてそれ以上に触れられないこと、近づけないことにもどかしさを感じながら夢中でキスをした。



「・・・椎娜・・・行こっか・・・」



唇が少しだけ離れ吐息を感じ、私が頷くと、髪をくしゃりと撫でた桜太が手を引いて、来た道を戻り始めた。


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