徒然なる恋の話

焔 はる

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三夜【淡き水光】

3-41

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ーーー灯りを落とした室内に、コポコポと青白い光が水の揺らぎを持って広がり、ゆらゆらと壁に水面みなもを映している。


肘を着いて上体を起こしたまま、ベッドの足元から4、5メートル離れた大きな水槽を眺めていた視線を横に落とすと、涙の跡が目尻にある椎娜が静かな寝息を立てていた。

汚れた2人分の服は床に散らばり、俺はスマホを操作して、着替えの服の手配をした。

額を俺の太腿につけて、左腕を俺の腹から腰に回して、抱き枕替わりにして眠っている。

顔に掛かる前髪をよけて、目尻をそっと指先で撫でても全く気にせずに眠ったまま・・・。


・・・静かだ・・・


室内の音だけではなく、胸の中、心の中がとても穏やかで静かだ。


薄いレースのカーテンからは、僅かに外の夜景の色とりどりの小さな光がわかる程度に入り、時計のない部屋では何時なのかもわからないけど、ただ、とても静かに時が流れている。


「ん・・・、も、や、・・・」


椎娜が寝言を言って、額を俺の太腿に押し付け、身体を丸めて眠り続ける。


どんな夢を見ているのか・・・


あたたかな感情が生まれ、自然と顔が緩む。


全てが愛しくて、口元はニヤけてしまうし、可愛くて仕方がない。


スマホに届いた返信に、コンシェルジュに渡し、朝食と一緒に持ってくるよう言伝ての指示を出し、淡い光の揺らぎに椎娜をしばらく見つめ、愛しさと共に椎娜を腕に抱いてベッドに潜り込んだ。



・・・やっと、俺のだ・・・



腕に抱いて、触れられる・・・



思う存分愛して可愛がって、嫉妬したって、ばかと呆れられても許される・・・


「や、だ・・・」


嬉しすぎて椎娜を抱く腕に力が入って迷惑そうにされた。


言葉にするだけじゃ足りなくて、触れるだけじゃ足りなくて、あれだけ抱いて、気を失うように椎娜は眠ったのに、まだ足りなくて熱を取り戻しそうになるのを、なんとか自分を誤魔化して鎮める。



眠れる気がしないけれど、スヤスヤと眠る椎娜を瞼の裏に焼き付けて、俺も瞳を閉じた・・・。


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