徒然なる恋の話

焔 はる

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三夜【淡き水光】

3-12

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「・・・しーちゃん、なんでその服に着替えたのか、理由はわかるんだけど・・・暑くないの?」

私を抱きしめながら、タートルネックの襟を弄り、桜太は優しく笑んだ。

「・・・暑いよ・・・でも、見えちゃうんだもん・・・」

「・・・それは・・・ほんと、ごめんなさい・・・」

私の肩口に頭を乗せ、しかられた大型犬みたいに桜太は項垂れる。

「・・・・・・付けてもすぐ消えるなら、たくさん付けられるのに・・・そういうの、開発されないかな・・・」

「・・・ちょっと、何言ってるかわからない」

「・・・見えなければいいって、椎娜さん言った・・・。」

「・・・あんまりはだめ」

「見えないならいいって・・・首だってさ・・・椎娜さん、好きでしょ・・・?」

肩口からタートルネックの襟を少しずらして、耳の下に唇で触れた。

吐息がかかる。

ちゅ・・・ちゅ・・・と触れるだけの軽い口付け。

っ・・・ていうか、なに?椎娜さんて・・・1度も呼んだことないのに・・・!

言葉の裏に、年下感を出してる桜太の思惑が見え隠れ、いや、見え見えになっている。

あざとい・・・
めちゃくちゃあざとい・・・

けれど、事実、首に触れられるのは気持ちよくて、愛しさが膨らんで、頭がぼ~っとしてきて、好きなのも否めない・・・・・・!

「・・・・・・椎娜さん、止めてくれないと・・・しちゃうよ?」

は・・・!

いつの間にか桜太の手がニットワンピの裾をたくしあげて、下着に指がかかっていた。

「今はもうだめ・・・!!」

「・・・ふふ、今は・・・ね・・・?」

悪戯っぽく桜太は笑って、ガシガシと頭を撫でられた。

グシャグシャになった髪とワンピースの裾を直してくれる。

「とりあえず、着替えてごはん食べに行こ。知り合いの店なんだけど、個室のとこ予約したから。」

車だし、なんとなく見えない感じで大丈夫、と桜太は絶妙に適当なことを言う。

・・・見えちゃうのは私だし、付けたのは桜太だし、一緒にいたら、桜太だって、「あぁ、こいつが付けたのか」って思われちゃうかもしれないのに・・・。


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