徒然なる恋の話

焔 はる

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三夜【淡き水光】

3-5

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シャワーを浴びて、俺は自宅に1度帰ることにした。

着替えを椎娜の家に置いている訳では無いから、着替えたらまた来るからごはんを食べに行こう、と約束をして、椎娜のマンション近くのコインパーキングに止めた愛車に乗り込んだ。

往復で30分、もう一度シャワーを浴びて着替えて・・・1時間くらいか。

信号待ちの間も、考えるのは椎娜の事ばかり。
脳みそが融けて、きっと俺はバカになっている。

幸せ過ぎてニヤけた顔が戻らない。

離れたばかりなのにもう会いたくて、触れたくて、抱きしめたくて・・・。


・・・・・・あんなに可愛かったっけ・・・・・・


脳みそだけじゃなくて、視覚、聴覚、触覚、・・・・・・味覚?全てが「椎娜が可愛い」
としか変換されない。

今まで、どんな風に椎娜を見ていたか、たった一晩で全てが変わってしまった今、長い年月【幼馴染み】としてどうやって側にいたか思い出せなくなってしまった。

好きだし、可愛いし、ずっと変わらなければいいと思っていた関係を壊して、触れてもいい、男として、椎娜を女として扱っていい存在になったら、【幼馴染み】を忘れてしまった・・・。

それが少し寂しいのもほんと。

気兼ねなく【幼馴染み】をしていられて、何でも話せた関係は、【色艶】なんてものがなかったから。


寂しさはあるよ・・・


【幼馴染み】の自分を捨てて、男として椎娜の側にいることを望んだことで、【幼馴染み】の自分に後ろめたさのようなものもある。


けれど、後悔はない・・・。


椎娜の反応次第では、【幼馴染み】すら壊れて消滅していたかもしれないけど、そうならない、と確信したからぶっ壊したんだ。


椎娜のアパートを出て僅かな時間。
早く椎娜に会いたい・・・。



俺はアクセルを踏み込んだ。

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