徒然なる恋の話

一夜【 淡き光 】

1-8

高校生の時に告白された先輩と付き合い、初めてセックスというものをした。

してみたからといって、どうという感想も抱かなかった。

「こんなものか」、という気持ちしか湧かず、私の中で何かが生まれることも、失うこともないまま、何も変わらなかった。

今思えば、私の『ハジメテ』は、世間一般的な括りからは外れたものだったけれど、当時そんな知識なんてなかった私は、乱暴に扱われ、傷ができても、気を失っても、それが付き合う関係ができたら当たり前に行われる行為なのだと疑ってすらなかった。

数ヶ月間続いたその先輩との関係は、先輩が卒業したのを境に消滅した。

寂しさも、虚しさも、何も心には残らなかった。

大学生の間、社会人になってから、２７歳という今の今まで、付き合うという関係になったらもれなくついてくる肉体関係が私は好きではなかったし、必要ともしていなかった。

関係性は恋人なのに、そこにあるのは、愛しさでも、温もりでもなく、冷たく纏わり付く「しなければならないのか」という空虚感、虚無感だけだった。

桜太は顔を顰め、指の動きがやや激しくなった。

「あっ、おぅたっ、んッンッうっぁ･･･なん、で･･･？」

両手を拘束されていた私の手は、桜太の左手が少し緩み開放された。

右手は桜太の指と絡んだまま繋がれている。

私は桜太の頬に触れた。

私の意思など関係なく、私を弄んでいるのに苦しげな、この美しい獣に。

「おぅ、たっ･･･ぁぅっ･･･んやっ･･･」

桜太は、ただ、私を見下ろしながら、膣(ナカ)を擦り上げ、指を２本、３本と増やして、「イイトコロ」を押し潰し、押し上げて、私を高みへと昇らせる。

そして･･･。