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9:タイトル未定

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「・・・ねぇ、作り辛いからちょっと離れて。」

「やです、蓮見さん、いいって言ったじゃないですか。」

「だからってっ・・・そんなにくっつかれてたら危ないでしょっ」


俺の部屋は蓮見さんの部屋よりもこじんまりとした1LDK。

あまり自炊しない上に、最近は蓮見さんちで食べさせてもらっていたので、入居以来1度も料理をしていないピカピカのキッチンに、蓮見さんがいる奇跡が舞い降りた。


「これは俺のリハビリなんですぅ。今の俺は、もう蓮見さんじゃないと受付けないので、今日平坂さんに汚されてしまった自分を浄化中です。お気になさらずに続けてください。楽しみだなぁ、蓮見さんのラーメン。」

そう言って、蓮見さんの背後から抱き着いて、頭に頬ずり、お腹に回した手をぎゅっとする。

以前の自分の言葉がブーメランとなり返ってきたことで、こんなにも幸運にも、俺は蓮見さんに触れる事ができている。

「・・・はぁ・・・可愛い・・・蓮見さん、大好き・・・。」

「・・・・・・」

「・・・あれ?うるさいとか、何言ってんの?とか振り払うとかしないんですか?」

反応のない蓮見さんを覗き込むと、

「うわ」

「呆れてるのよ」

うんざりした顔で鼻梁に皺を寄せていた。

「え~でも・・・じゃあなんで耳、赤いんですか?」

ふぅっ、と息を吹きかければビクっとして、さっきまでの余裕はどこへやら。

「っ・・・や、め・・・」

「・・・耳、弱かったんですね」


あ~~~やばい・・・これ以上はちょっとな・・・


「忽那くん?」

俺は蓮見さんから離れて、テーブルを片付けて準備をする事にした。

あったかわからないどんぶりを探し、人が来る予定もなかったので箸は用意していなかったから、割りばしでいっかと、安心する温もりから距離をとった。

でないと、もっと触れたくなってしまうから・・・。

それなのに。

「・・・ちょっと、蓮見さんその顔はやめてください。寂しそうにしないで。」

俺が離れた途端、不安そうに、物足りなそうに俺を追う瞳。

無意識なんだろうけど、仙台出張の時から距離感がバグって、自分でもよくわかっていない蓮見さんと、今までの相手とも違う蓮見さんとの関係、蓮見さんへの感情を自分でもまだよくわかっていない俺。

それぞれが戸惑っているのは確かだった。

オトコでもオンナでも、まぁいいかなって思えれば付き合ったりセックスもできたのに、今日平坂さんに触られたらキモチ悪くて、それが平坂さんだからなのか、今は蓮見さんていう好きな人がいるからなのか、俺もホントのトコロよくわかっていなくて・・・。

それでも、触れていたくて、一緒にいたいのは蓮見さんだった。


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