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「・・・平坂さん・・・どういうつもりですか?」

「どういうつもり、とは?」

「・・・・・・蓮見さんに触らないでください。」

「なぜだ?」

「なぜって・・・!」


アイデンティティ。

俺はあの後調べたんだ。

他人の口からあれこれ言ってはいけないもの・・・。


だから蓮見さんのことも俺が言ってはいけないやつ・・・!


あ~~ッでもッ・・・!


「・・・蓮見、今回は・・・ダメなのか?」

俺だって身長が低いわけじゃない。

なのに、さらに俺より身長が高い平坂さんが、俺を見下ろして、視線を外さずに蓮見さんに伺いを立てている。

それが何の伺いなのか俺には全然わからないけど、俺を見る平坂さんの瞳の熱には覚えがあるような気がした。


・・・なんだろう・・・この既視感・・・

知っている感覚な気がするのに、今は『そうじゃない』と拒絶したい俺がいる。


「・・・私が決めることじゃ、ない・・・ので・・・」

「・・・ふぅん?そっか・・・」

「・・・なんのハナシっスか?」

「・・・・・・忽那、お前は俺が蓮見を好きなんだと思ってるのか?」

蓮見さんを背にした俺と1歩分距離を近づける平坂さん。

「っ・・・そぉ、っスけど・・・だって、現にこうして俺とのこと聞いて・・・」

「俺が蓮見にお前とのことを聞いたからって、俺が好きなのが蓮見とは限らないと思わないか?」

「え、ちょ・・・ひら、さかさ・・・」

俺との距離を詰めた平坂さんがさらに距離を縮め、危惧していた棚ドンになったのは俺の方だった。

いつの間にかスルリと俺の背後から避けていた蓮見さんを挟み込む事はなかったけど、なんで俺が・・・?!

「!!ちょッ平坂さん?!」

平坂さんの手が俺の腰を抱いて、膝が足を割ってくる。

「忽那、俺が・・蓮見を好きだと言ったか?じゃあ、こうしている俺がお前をどう思っていると思う?」


あ・・・これは・・・完全に読み間違ったヤツでは・・・?


腰を抱かれて、割り入れられた膝、更に押し入れる腰によって、下腹部から胸へと密着度が増した。


え・・・もしかして・・・

え・・・??

いや、平坂さんて・・・??


「・・・平坂さん・・・」

「・・・なんだ」


え~・・・・・・と、あれか、そっか・・・だからなんか、知ってる感覚だなァって・・・


「平坂さんの対象って・・・・・・おとこ?」


「そうだが?それが何か??」


平坂さんの太腿が俺の愚息を擦り上げるように持ち上げる。


「ちょッ・・・や、め・・・」

「ふ・・・やはり、想像通りに可愛く反応してくれる。」


いや!どういうことだよ!!

蓮見さんのことを好きだと思っていた上司が好きだったのは、実は俺??しかも迫り方がガッツリタチ・・なやつじゃん!!


「ひ、ひら、さかさッ・・・」

やばくない?俺、貞操の危機じゃない??平坂さんが手馴れすぎていて、腕を掴まれ、身体を重ねられて、俺は好きな人の前で逃げる術を失っていた。

「蓮見に言い寄る男は、今まで全て俺が駆除頂いてきた。」

「・・・頼んだわけじゃないですけどね。」

「頼まれてはいないが、教育係に蓮見を付けると、7割ほどは蓮見へ恋愛感情を持ち、恋愛相談を俺にしてくる。そこを・・・まぁ、頂いていたわけだな。」

平坂さんの指が俺の喉を滑り、ネクタイを緩める。

「・・・だが、忽那・・・お前は違った。蓮見から相手にされなかろうが、ぞんざいに扱われようが蓮見しか見ていない。俺に相談に来る事もなく・・・そそられたよ。啼かせてみたくて仕方なかった。」


・・・え・・・どうしよう、ガチなやつじゃん・・・

ワイシャツのボタンが1つ、2つと外され、寛げられた胸に平坂さんの手が滑り込んだ。


「や・・・やめ・・・ッ」

背中を駆け上がるゾワッとした嫌悪と拒否反応。

「平坂さん、やめてください。」

俺の胸を撫でる平坂さんのてを蓮見さんが掴んでいた。


「・・・・・・なぜ?やはり忽那は特別だとでも?」


「その子・・・私のなので、平坂さんにはあげれません。」





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