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5:Rain dance
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「あなたが私に真剣に何かを伝えてくれても、私にはそれが理解できないの。」
「・・・蓮見さん」
「後付けみたいな理由と、考えても理解できない他人の感情をどうしていつまでも理解しようと考えないといけないのか・・・考えても、わからないのよ、私には・・・」
夏の日差しーーー。
笑いながら顔を上げた蓮見さんの目から零れる涙が光った。
「蓮見さん・・・」
「・・・・・・あなたが、本当に私を思うと言うのなら・・・・・・もう、その感情を手離して・・・・・・」
「・・・・・・蓮見さん・・・・・・」
ーーーポツ・・・
「え・・・雨・・・?」
頬に落ちた雫。
見上げれば、青空を覆い始める黒い雲と吹き始めた冷たい風。
ポツ・・・ポツ・・・
「え、ちょ・・・これ・・・マジか・・・?」
地面を這い、巻きあがる冷風と、ゴロゴロと雷様も引き連れて頭上を覆う分厚い雷雲。
流れる蓮見さんの涙すら隠してしまうほどの雨量になるのにそう時間はかからなかった。
「蓮見さん!難しい話は一時休戦にしてください!!一旦非難しましょう!!」
俺はお土産の笹かまと萩の月が入った紙袋と2人分の荷物を掴み、勢いで蓮見さんの手を取りそうになって思い止まり行き場を失った手を引っ込めた。
勢いの強まる雨脚は、ザァァァァァァ!!!!!なんてものではなく、ドバシャァァァァッーーーーー!!!と視界も悪くなる一方で、近くのデパートに避難してスマホで天気予報を確認すれば、明日朝までずっとかかり続ける雨雲は、雨雲レーダーの色が降り続ければ災害レベルに達する黄色や赤の雲がかかり続けると示していて、すでに大雨、洪水、暴風警報も発令された。
「これ・・・帰れるか・・・?」
周りを見れば、俺たちと同じように雨宿りをしに駆け込んで来る人たちでデパートの外も中もごった返している。
「・・・新幹線、止まったみたいね。」
蓮見さんが俺の前に差し出した画面は、この大雨によって運転見合わせの新幹線の表示。
勿論、在来線も大雨と暴風、そしてどこかの区間では車両の故障で運行が見合わせになっていると表示されている。
「・・・あ、平坂さん、お疲れ様です、蓮見です。」
蓮見さんの声に俺が人混みから目を移すと、蓮見さんは平坂さんに現状の報告をしていた。
5分程して電話を切り、今日はどこか宿を押さえて1泊する許可を得たと教えてくれた。
「・・・あと、迂闊だったわ・・・今、七夕なのね仙台・・・どうりでこの人出なわけね・・・もしかしたら、ホテル取れないかもしれないわ。」
「え・・・そしたら今夜野宿ですか・・・?」
「そんな情けない顔しないで。この辺りが埋まっていても、中心部から外れたらどこかホテルくらいあるでしょう。」
しかし、蓮見さんのその予想は、七夕まつり、大雨、新幹線運休、諸々の悪条件が重なった事で、ほんとにほんとにビジネスホテルはどこもかしこも満室ばかりだった。
安く一晩を過ごせる漫画喫茶も即座にいっぱいになったらしく、行くとこ行くとこ満室ばかり。
「・・・甘かったわね・・・」
判断を誤ったと眉間に皺を寄せて唇を噛む蓮見さん。
「・・・・・・蓮見さん、嫌かもしれないですが、今夜だけ、我慢してくれますか・・・?」
「・・・・・・え・・・・・・」
俺はスマホを片手に、怪訝、不安、不機嫌、複雑な表情を浮かべる蓮見さんをタクシーに乗せ、運転手に行き先を伝えた。
「・・・蓮見さん」
「後付けみたいな理由と、考えても理解できない他人の感情をどうしていつまでも理解しようと考えないといけないのか・・・考えても、わからないのよ、私には・・・」
夏の日差しーーー。
笑いながら顔を上げた蓮見さんの目から零れる涙が光った。
「蓮見さん・・・」
「・・・・・・あなたが、本当に私を思うと言うのなら・・・・・・もう、その感情を手離して・・・・・・」
「・・・・・・蓮見さん・・・・・・」
ーーーポツ・・・
「え・・・雨・・・?」
頬に落ちた雫。
見上げれば、青空を覆い始める黒い雲と吹き始めた冷たい風。
ポツ・・・ポツ・・・
「え、ちょ・・・これ・・・マジか・・・?」
地面を這い、巻きあがる冷風と、ゴロゴロと雷様も引き連れて頭上を覆う分厚い雷雲。
流れる蓮見さんの涙すら隠してしまうほどの雨量になるのにそう時間はかからなかった。
「蓮見さん!難しい話は一時休戦にしてください!!一旦非難しましょう!!」
俺はお土産の笹かまと萩の月が入った紙袋と2人分の荷物を掴み、勢いで蓮見さんの手を取りそうになって思い止まり行き場を失った手を引っ込めた。
勢いの強まる雨脚は、ザァァァァァァ!!!!!なんてものではなく、ドバシャァァァァッーーーーー!!!と視界も悪くなる一方で、近くのデパートに避難してスマホで天気予報を確認すれば、明日朝までずっとかかり続ける雨雲は、雨雲レーダーの色が降り続ければ災害レベルに達する黄色や赤の雲がかかり続けると示していて、すでに大雨、洪水、暴風警報も発令された。
「これ・・・帰れるか・・・?」
周りを見れば、俺たちと同じように雨宿りをしに駆け込んで来る人たちでデパートの外も中もごった返している。
「・・・新幹線、止まったみたいね。」
蓮見さんが俺の前に差し出した画面は、この大雨によって運転見合わせの新幹線の表示。
勿論、在来線も大雨と暴風、そしてどこかの区間では車両の故障で運行が見合わせになっていると表示されている。
「・・・あ、平坂さん、お疲れ様です、蓮見です。」
蓮見さんの声に俺が人混みから目を移すと、蓮見さんは平坂さんに現状の報告をしていた。
5分程して電話を切り、今日はどこか宿を押さえて1泊する許可を得たと教えてくれた。
「・・・あと、迂闊だったわ・・・今、七夕なのね仙台・・・どうりでこの人出なわけね・・・もしかしたら、ホテル取れないかもしれないわ。」
「え・・・そしたら今夜野宿ですか・・・?」
「そんな情けない顔しないで。この辺りが埋まっていても、中心部から外れたらどこかホテルくらいあるでしょう。」
しかし、蓮見さんのその予想は、七夕まつり、大雨、新幹線運休、諸々の悪条件が重なった事で、ほんとにほんとにビジネスホテルはどこもかしこも満室ばかりだった。
安く一晩を過ごせる漫画喫茶も即座にいっぱいになったらしく、行くとこ行くとこ満室ばかり。
「・・・甘かったわね・・・」
判断を誤ったと眉間に皺を寄せて唇を噛む蓮見さん。
「・・・・・・蓮見さん、嫌かもしれないですが、今夜だけ、我慢してくれますか・・・?」
「・・・・・・え・・・・・・」
俺はスマホを片手に、怪訝、不安、不機嫌、複雑な表情を浮かべる蓮見さんをタクシーに乗せ、運転手に行き先を伝えた。
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