24 / 60
5:Rain dance
5-5
しおりを挟む
「あなたが私に真剣に何かを伝えてくれても、私にはそれが理解できないの。」
「・・・蓮見さん」
「後付けみたいな理由と、考えても理解できない他人の感情をどうしていつまでも理解しようと考えないといけないのか・・・考えても、わからないのよ、私には・・・」
夏の日差しーーー。
笑いながら顔を上げた蓮見さんの目から零れる涙が光った。
「蓮見さん・・・」
「・・・・・・あなたが、本当に私を思うと言うのなら・・・・・・もう、その感情を手離して・・・・・・」
「・・・・・・蓮見さん・・・・・・」
ーーーポツ・・・
「え・・・雨・・・?」
頬に落ちた雫。
見上げれば、青空を覆い始める黒い雲と吹き始めた冷たい風。
ポツ・・・ポツ・・・
「え、ちょ・・・これ・・・マジか・・・?」
地面を這い、巻きあがる冷風と、ゴロゴロと雷様も引き連れて頭上を覆う分厚い雷雲。
流れる蓮見さんの涙すら隠してしまうほどの雨量になるのにそう時間はかからなかった。
「蓮見さん!難しい話は一時休戦にしてください!!一旦非難しましょう!!」
俺はお土産の笹かまと萩の月が入った紙袋と2人分の荷物を掴み、勢いで蓮見さんの手を取りそうになって思い止まり行き場を失った手を引っ込めた。
勢いの強まる雨脚は、ザァァァァァァ!!!!!なんてものではなく、ドバシャァァァァッーーーーー!!!と視界も悪くなる一方で、近くのデパートに避難してスマホで天気予報を確認すれば、明日朝までずっとかかり続ける雨雲は、雨雲レーダーの色が降り続ければ災害レベルに達する黄色や赤の雲がかかり続けると示していて、すでに大雨、洪水、暴風警報も発令された。
「これ・・・帰れるか・・・?」
周りを見れば、俺たちと同じように雨宿りをしに駆け込んで来る人たちでデパートの外も中もごった返している。
「・・・新幹線、止まったみたいね。」
蓮見さんが俺の前に差し出した画面は、この大雨によって運転見合わせの新幹線の表示。
勿論、在来線も大雨と暴風、そしてどこかの区間では車両の故障で運行が見合わせになっていると表示されている。
「・・・あ、平坂さん、お疲れ様です、蓮見です。」
蓮見さんの声に俺が人混みから目を移すと、蓮見さんは平坂さんに現状の報告をしていた。
5分程して電話を切り、今日はどこか宿を押さえて1泊する許可を得たと教えてくれた。
「・・・あと、迂闊だったわ・・・今、七夕なのね仙台・・・どうりでこの人出なわけね・・・もしかしたら、ホテル取れないかもしれないわ。」
「え・・・そしたら今夜野宿ですか・・・?」
「そんな情けない顔しないで。この辺りが埋まっていても、中心部から外れたらどこかホテルくらいあるでしょう。」
しかし、蓮見さんのその予想は、七夕まつり、大雨、新幹線運休、諸々の悪条件が重なった事で、ほんとにほんとにビジネスホテルはどこもかしこも満室ばかりだった。
安く一晩を過ごせる漫画喫茶も即座にいっぱいになったらしく、行くとこ行くとこ満室ばかり。
「・・・甘かったわね・・・」
判断を誤ったと眉間に皺を寄せて唇を噛む蓮見さん。
「・・・・・・蓮見さん、嫌かもしれないですが、今夜だけ、我慢してくれますか・・・?」
「・・・・・・え・・・・・・」
俺はスマホを片手に、怪訝、不安、不機嫌、複雑な表情を浮かべる蓮見さんをタクシーに乗せ、運転手に行き先を伝えた。
「・・・蓮見さん」
「後付けみたいな理由と、考えても理解できない他人の感情をどうしていつまでも理解しようと考えないといけないのか・・・考えても、わからないのよ、私には・・・」
夏の日差しーーー。
笑いながら顔を上げた蓮見さんの目から零れる涙が光った。
「蓮見さん・・・」
「・・・・・・あなたが、本当に私を思うと言うのなら・・・・・・もう、その感情を手離して・・・・・・」
「・・・・・・蓮見さん・・・・・・」
ーーーポツ・・・
「え・・・雨・・・?」
頬に落ちた雫。
見上げれば、青空を覆い始める黒い雲と吹き始めた冷たい風。
ポツ・・・ポツ・・・
「え、ちょ・・・これ・・・マジか・・・?」
地面を這い、巻きあがる冷風と、ゴロゴロと雷様も引き連れて頭上を覆う分厚い雷雲。
流れる蓮見さんの涙すら隠してしまうほどの雨量になるのにそう時間はかからなかった。
「蓮見さん!難しい話は一時休戦にしてください!!一旦非難しましょう!!」
俺はお土産の笹かまと萩の月が入った紙袋と2人分の荷物を掴み、勢いで蓮見さんの手を取りそうになって思い止まり行き場を失った手を引っ込めた。
勢いの強まる雨脚は、ザァァァァァァ!!!!!なんてものではなく、ドバシャァァァァッーーーーー!!!と視界も悪くなる一方で、近くのデパートに避難してスマホで天気予報を確認すれば、明日朝までずっとかかり続ける雨雲は、雨雲レーダーの色が降り続ければ災害レベルに達する黄色や赤の雲がかかり続けると示していて、すでに大雨、洪水、暴風警報も発令された。
「これ・・・帰れるか・・・?」
周りを見れば、俺たちと同じように雨宿りをしに駆け込んで来る人たちでデパートの外も中もごった返している。
「・・・新幹線、止まったみたいね。」
蓮見さんが俺の前に差し出した画面は、この大雨によって運転見合わせの新幹線の表示。
勿論、在来線も大雨と暴風、そしてどこかの区間では車両の故障で運行が見合わせになっていると表示されている。
「・・・あ、平坂さん、お疲れ様です、蓮見です。」
蓮見さんの声に俺が人混みから目を移すと、蓮見さんは平坂さんに現状の報告をしていた。
5分程して電話を切り、今日はどこか宿を押さえて1泊する許可を得たと教えてくれた。
「・・・あと、迂闊だったわ・・・今、七夕なのね仙台・・・どうりでこの人出なわけね・・・もしかしたら、ホテル取れないかもしれないわ。」
「え・・・そしたら今夜野宿ですか・・・?」
「そんな情けない顔しないで。この辺りが埋まっていても、中心部から外れたらどこかホテルくらいあるでしょう。」
しかし、蓮見さんのその予想は、七夕まつり、大雨、新幹線運休、諸々の悪条件が重なった事で、ほんとにほんとにビジネスホテルはどこもかしこも満室ばかりだった。
安く一晩を過ごせる漫画喫茶も即座にいっぱいになったらしく、行くとこ行くとこ満室ばかり。
「・・・甘かったわね・・・」
判断を誤ったと眉間に皺を寄せて唇を噛む蓮見さん。
「・・・・・・蓮見さん、嫌かもしれないですが、今夜だけ、我慢してくれますか・・・?」
「・・・・・・え・・・・・・」
俺はスマホを片手に、怪訝、不安、不機嫌、複雑な表情を浮かべる蓮見さんをタクシーに乗せ、運転手に行き先を伝えた。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
シチュボ(女性向け)
身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。
アドリブ、改変、なんでもOKです。
他人を害することだけはお止め下さい。
使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。
Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる