18 / 60
4:blue illusion
4-7
しおりを挟む
「・・・・・・ッ・・・私は、そういうのを機微に感じ取れない・・・。自分は不愉快になりたくないとか言ってるけど、人を不愉快にしていることは沢山ある、と思う・・・。そういう・・・自覚はある・・・ないわけじゃない・・・。でも、距離を詰めたところで、私は・・・・・・だめ、なの・・・。結局、受け入れられない・・・自分が不快じゃないか、不愉快じゃないか、それが一番大事でしかない・・・・・・。だから・・・・・・あなたが、私の言葉の何に怒っているのかわからない・・・・・・。水族館は、思ったよりも楽しくて、嫌じゃなかった・・・・・・距離が近づいても、それ以上に近づかないよう、触れないようにしてくれていたし、人がぶつかりそうになったりしても、自分が壁になってくれていたのもわかってる・・・。約束を破らないようにしてくれていたのも、知ってる・・・・・・。」
堰を切ったように、何をそんなに必死になる必要があるのか、蓮見さんは言葉を続ける。
「・・・だから・・・・・・・・・わりと・・・・・・ありがとう・・・・・・」
それは、思いがけないにもほどがある言葉。
想像すらしていなかったと言ってもいい。
「蓮見さん、別に気を遣って言ってもらわなくても・・・」
「嘘じゃない」
振り向いた俺を真っ直ぐに睨んでいると言ってもいい程の、射抜く瞳と視線がぶつかった。
ぶつかった勢いで言えば交通事故レベルの衝撃。
嘘じゃない、という言葉を本気で疑う、めちゃくちゃ無理してるでしょ、という恨みの籠ったような視線。
「・・・俺は・・・蓮見さんの言葉に何か怒っているというより、蓮見さんの言葉
1つに傷ついた自分に驚いたんです。」
今度は、俺の言葉に目を見開き、その後『は?何が?あなたが???』と不信感、怪訝さ、信じられない、が複雑に絡み合った表情で、唇に拳を当てる。
唇に人差し指の側面で触れるように、トントンと考える仕草。
少し伏し目がちに視線を落とし、条件反射のように俺が『可愛いな』と思った思考を蓮見さんの声が引き戻した。
「・・・・・・あなた、傷つくの・・・・・・?私の言葉で???」
「ふっ・・・だから驚いたんですよ・・・。自分以外他人だと思っていたのに、それを好きな人から言われる事がこんなに痛いなんて・・・自分でも痛すぎて、感情をどう処理していいかわかりませんでした。」
自嘲気味に笑いが零れる。
「他人・・・そう考えるのが楽だと思ってた・・・実際にそう思っていた方が楽だ・・・。でも、寂しい言葉だ・・・。それに気づいた時、痛すぎて、他の誰よりも蓮見さんに言われるのが・・・こんなに痛いと思わなくて・・・泣きそうでした・・・」
「・・・!ちょ・・・・・・え、なんっ・・・・・・忽那、く、ん・・・・・・?!」
驚く蓮見さんの前に立つ俺は、恥ずかしいくらいに泣いた。
『他人』という言葉の痛みと、こんなにも短期間、短時間の間に蓮見さんを自分でも感情が追い付かずに気づかない程好きになっていたこと、そして、初めて見る焦った様子で弁明する蓮見さんが、少しでも俺の様子を気にしてくれていたことが嬉しくて、子供のように泣いた。
堰を切ったように、何をそんなに必死になる必要があるのか、蓮見さんは言葉を続ける。
「・・・だから・・・・・・・・・わりと・・・・・・ありがとう・・・・・・」
それは、思いがけないにもほどがある言葉。
想像すらしていなかったと言ってもいい。
「蓮見さん、別に気を遣って言ってもらわなくても・・・」
「嘘じゃない」
振り向いた俺を真っ直ぐに睨んでいると言ってもいい程の、射抜く瞳と視線がぶつかった。
ぶつかった勢いで言えば交通事故レベルの衝撃。
嘘じゃない、という言葉を本気で疑う、めちゃくちゃ無理してるでしょ、という恨みの籠ったような視線。
「・・・俺は・・・蓮見さんの言葉に何か怒っているというより、蓮見さんの言葉
1つに傷ついた自分に驚いたんです。」
今度は、俺の言葉に目を見開き、その後『は?何が?あなたが???』と不信感、怪訝さ、信じられない、が複雑に絡み合った表情で、唇に拳を当てる。
唇に人差し指の側面で触れるように、トントンと考える仕草。
少し伏し目がちに視線を落とし、条件反射のように俺が『可愛いな』と思った思考を蓮見さんの声が引き戻した。
「・・・・・・あなた、傷つくの・・・・・・?私の言葉で???」
「ふっ・・・だから驚いたんですよ・・・。自分以外他人だと思っていたのに、それを好きな人から言われる事がこんなに痛いなんて・・・自分でも痛すぎて、感情をどう処理していいかわかりませんでした。」
自嘲気味に笑いが零れる。
「他人・・・そう考えるのが楽だと思ってた・・・実際にそう思っていた方が楽だ・・・。でも、寂しい言葉だ・・・。それに気づいた時、痛すぎて、他の誰よりも蓮見さんに言われるのが・・・こんなに痛いと思わなくて・・・泣きそうでした・・・」
「・・・!ちょ・・・・・・え、なんっ・・・・・・忽那、く、ん・・・・・・?!」
驚く蓮見さんの前に立つ俺は、恥ずかしいくらいに泣いた。
『他人』という言葉の痛みと、こんなにも短期間、短時間の間に蓮見さんを自分でも感情が追い付かずに気づかない程好きになっていたこと、そして、初めて見る焦った様子で弁明する蓮見さんが、少しでも俺の様子を気にしてくれていたことが嬉しくて、子供のように泣いた。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる