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「忽那くん、君に付いて教えてくれるのは、君より2年先輩の蓮見綾くんだ。
少し気難しい所もあるが、きっちり仕事をこなす、うちの期待の子でね・・・」
1歩先を歩きながら、配属部署へと俺を連れ立って歩く人事担当者。
教えてくれる先輩が「はすみりょう」ということだけは頭に刻み、俺は適当な相槌と愛想笑いを浮かべながら、その後に続いた。
白い壁に白い廊下、無機質な作りのオフィスにはまだ新築らしい匂いが漂う。
「さあ、ここだ」
軽いノックのあと、開かれたオフィスにはざっと10人程の社員がいた。
白を基調とした室内は大きなガラス張りになっていて、外からの光を取り込み光で満ちている。
「明るいオフィスだろう、うちは社員が快適に仕事をできる環境作りを大切にしているから、社内の施設や、寮、福利厚生なんかも充実しているんだ」
人事担当者は誇らしそうに、満足そうに笑った。
「みんな、ちょっと手を止めてくれるかな。」
その声に、パソコンのキーボードを叩く手が止まり、一瞬の静寂が訪れる。
「今日からうちで働く、忽那透真くんだ。」
「忽那透真です、よろしくお願いします。」
「教育担当は蓮見くん、よろしく頼むよ。」
その声に、反応して1歩進み出てきたのは。
え・・・おん、な・・・?
人事担当者からの紹介で「はすみりょう」、名前だけで男だと判断していた俺は、それが表情に出たようだった。
「・・・蓮見綾、あやって書いてりょう。女でごめんね?」
にっこりと笑うその裏には、明らかな「不機嫌」が浮かんでいた。
ひんやりとした空気を打ち消したのは、ガラス張りの窓を背にデスクに座っていた、長身のスラっとした男。
「こら、蓮見、挨拶早々噛みつくな。」
インテリなメガネをかけ、髪型からスーツ、磨かれた革靴には傷などもなく「仕事ができる男」を体現しているこの男は、ゆったりと俺に近づき人事担当者から引き継ぐと、他の社員に仕事を再開させて、いまだ冷たい目をしている蓮見さんを呼び寄せた。
「すまないな、蓮見が。」
「なっ・・・平坂さんっ」
「俺は平坂英智、蓮見と君の上司に当たる。蓮見はまぁ・・・ちょっと気難しいが、悪い奴じゃないんだ。感情が出やすいだけで。」
平坂さんは蓮見さんのフォローをしつつも、楽しそうな表情をする。
それは俺の中のアンテナに微妙に引っ掛かり、「男女の感情」をキャッチしてしまう。
だが、その感情を抱いているのは平坂さんだけのようだ。
少し気難しい所もあるが、きっちり仕事をこなす、うちの期待の子でね・・・」
1歩先を歩きながら、配属部署へと俺を連れ立って歩く人事担当者。
教えてくれる先輩が「はすみりょう」ということだけは頭に刻み、俺は適当な相槌と愛想笑いを浮かべながら、その後に続いた。
白い壁に白い廊下、無機質な作りのオフィスにはまだ新築らしい匂いが漂う。
「さあ、ここだ」
軽いノックのあと、開かれたオフィスにはざっと10人程の社員がいた。
白を基調とした室内は大きなガラス張りになっていて、外からの光を取り込み光で満ちている。
「明るいオフィスだろう、うちは社員が快適に仕事をできる環境作りを大切にしているから、社内の施設や、寮、福利厚生なんかも充実しているんだ」
人事担当者は誇らしそうに、満足そうに笑った。
「みんな、ちょっと手を止めてくれるかな。」
その声に、パソコンのキーボードを叩く手が止まり、一瞬の静寂が訪れる。
「今日からうちで働く、忽那透真くんだ。」
「忽那透真です、よろしくお願いします。」
「教育担当は蓮見くん、よろしく頼むよ。」
その声に、反応して1歩進み出てきたのは。
え・・・おん、な・・・?
人事担当者からの紹介で「はすみりょう」、名前だけで男だと判断していた俺は、それが表情に出たようだった。
「・・・蓮見綾、あやって書いてりょう。女でごめんね?」
にっこりと笑うその裏には、明らかな「不機嫌」が浮かんでいた。
ひんやりとした空気を打ち消したのは、ガラス張りの窓を背にデスクに座っていた、長身のスラっとした男。
「こら、蓮見、挨拶早々噛みつくな。」
インテリなメガネをかけ、髪型からスーツ、磨かれた革靴には傷などもなく「仕事ができる男」を体現しているこの男は、ゆったりと俺に近づき人事担当者から引き継ぐと、他の社員に仕事を再開させて、いまだ冷たい目をしている蓮見さんを呼び寄せた。
「すまないな、蓮見が。」
「なっ・・・平坂さんっ」
「俺は平坂英智、蓮見と君の上司に当たる。蓮見はまぁ・・・ちょっと気難しいが、悪い奴じゃないんだ。感情が出やすいだけで。」
平坂さんは蓮見さんのフォローをしつつも、楽しそうな表情をする。
それは俺の中のアンテナに微妙に引っ掛かり、「男女の感情」をキャッチしてしまう。
だが、その感情を抱いているのは平坂さんだけのようだ。
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