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Capsule5:失くした記憶と縁結び
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「なっ・・・それ、なんだよ・・・それに、あんた・・・大丈夫か・・・?!」
「・・・なぁに、大事ない。佐智はまだ目覚めてはおらぬな・・・」
神の力を具現化した剥き出しの刃は、黒いシミが徐々に刀身に広がっていく。
魔物を直接祓い物理的に解決したはいいが、代償として俺は穢れを負った。
「・・・どぉれ・・・帰る、か。」
「!神様・・・!」
剣を杖代わりにした俺は一瞬よろめき、佐智を抱いた佳月が手を伸ばした。
「さわるな佳月、お主は触れるな。魂が穢れる。俺はいいから佐智を頼む。・・・お主も共に戻れ。」
「俺も・・・?でも俺は佐智の記憶の中にしか・・・」
「よく見ろ、コレはなんだと思う?」
俺の胸からは、1本が佐智へ、そしてもう1本は・・・
「な!!なんだよ!!このっひ、紐っ!!」
シッシッと虫を払うように佳月は手で縁の糸を払いのけようとしている。
「縁の糸。俺とお主の間には神と眷属のように主従の関係を結んだ。俺の眷属としてお主は現世に戻ることができる。」
「・・・・・・それって・・・佐智といられるってことか・・・・・・??」
「あぁ。」
「ほんとに・・・??」
「あぁ、本当だ。」
「~~~~~!!!!」
「やめッ、だめだ!・・・今は俺に触れるな、お前にも穢れが感染る。」
嬉しさのあまり佐智を抱いたまま俺に抱き着く勢いの佳月を制して、段々と刀身の穢れが濃くなっていく剣を見やった。
「・・・ひとまず、戻らねばならぬが・・・」
歩き辿ってきた佐智の記憶の中。
この記憶の主はいまだ意識がなく、佳月に抱かれて眠っている状態。
戻る為には佐智が意識を取り戻し、目覚めて現実に帰る意思を持ってくれない事には、戻る為の扉が開かない・・・。
・・・悩んでいる時間はあまりないのだが・・・
「なぁ、帰るってどこから帰るんだ?歩いてても、何も見えてこねぇぞ」
「・・・佐智が目覚めれば、現実に戻る為の扉が開く。だが、扉が開かぬからと無理矢理道を作り、この記憶の世界の扉をこじ開ければ、良い記憶などほとんどない記憶だとしても、佐智の、この娘の生きて来た証を壊すことになりかねん・・・」
「・・・なぁに、大事ない。佐智はまだ目覚めてはおらぬな・・・」
神の力を具現化した剥き出しの刃は、黒いシミが徐々に刀身に広がっていく。
魔物を直接祓い物理的に解決したはいいが、代償として俺は穢れを負った。
「・・・どぉれ・・・帰る、か。」
「!神様・・・!」
剣を杖代わりにした俺は一瞬よろめき、佐智を抱いた佳月が手を伸ばした。
「さわるな佳月、お主は触れるな。魂が穢れる。俺はいいから佐智を頼む。・・・お主も共に戻れ。」
「俺も・・・?でも俺は佐智の記憶の中にしか・・・」
「よく見ろ、コレはなんだと思う?」
俺の胸からは、1本が佐智へ、そしてもう1本は・・・
「な!!なんだよ!!このっひ、紐っ!!」
シッシッと虫を払うように佳月は手で縁の糸を払いのけようとしている。
「縁の糸。俺とお主の間には神と眷属のように主従の関係を結んだ。俺の眷属としてお主は現世に戻ることができる。」
「・・・・・・それって・・・佐智といられるってことか・・・・・・??」
「あぁ。」
「ほんとに・・・??」
「あぁ、本当だ。」
「~~~~~!!!!」
「やめッ、だめだ!・・・今は俺に触れるな、お前にも穢れが感染る。」
嬉しさのあまり佐智を抱いたまま俺に抱き着く勢いの佳月を制して、段々と刀身の穢れが濃くなっていく剣を見やった。
「・・・ひとまず、戻らねばならぬが・・・」
歩き辿ってきた佐智の記憶の中。
この記憶の主はいまだ意識がなく、佳月に抱かれて眠っている状態。
戻る為には佐智が意識を取り戻し、目覚めて現実に帰る意思を持ってくれない事には、戻る為の扉が開かない・・・。
・・・悩んでいる時間はあまりないのだが・・・
「なぁ、帰るってどこから帰るんだ?歩いてても、何も見えてこねぇぞ」
「・・・佐智が目覚めれば、現実に戻る為の扉が開く。だが、扉が開かぬからと無理矢理道を作り、この記憶の世界の扉をこじ開ければ、良い記憶などほとんどない記憶だとしても、佐智の、この娘の生きて来た証を壊すことになりかねん・・・」
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