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Capsule5:失くした記憶と縁結び
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しおりを挟む「さぁて、では行くとするかの。」
「?行くって・・・ここは佐智の記憶の中だぞ?」
「あぁ、ここにおる佐智を迎えに行くのだ。お主も参るか?」
「・・・・・・なんか胡散臭ぇんだよな・・・」
「まぁまぁ、これでも生まれ変わった神様だぞ、俺は。ついてくるがよい。」
俺は黒猫少年の胸にポンと触り、抱き上げて地面に下ろしてやった。
ふむ・・・また違うところに動いたな、次は・・・
「・・・・・・母親との記憶か・・・・・・」
「・・・俺は何もできねぇぞ、ついてったって・・・」
俺の後ろをついてくる黒猫少年のしょんぼりした声が背中に届く。
「そんな事はないさ。過去があり今がある、お主がそうした姿でカタチを成してココにおるという事は、佐智の中でお主の存在がとても大きかったという事だ。お主がいてくれた事で佐智は救われた。何もできないなどと言うな。猫であった頃のお主と、今こうして俺と会話をするお主、それだけでも違う、変わっていくのだ。あとは、しようと思うかの意志、動こうとするかの決意と覚悟だな。まぁそれは・・・偉そうに言う俺も、佐智から教えられ、過去の失敗があったから知り得た事だ。お主が言ったようにヘタレなのだよ、俺は。だからもう二度と失敗したくない、佐智を失いたくないのだ。」
「・・・・・・ふん。偉そうに・・・・・・。でも・・・・・・ついてってやるよ、あんたに・・・。」
ここは俺の方が知ってるからな、と黒猫少年は俺を先導するように前に出て、暗闇の中に手をかざした。
「俺は佐智に幸せになってほしいんだ。暗がりで怖いものから怯えなくていいように、光ある場所で幸せになってほしいんだ。」
黒猫少年が手をかざした方向へと広がるのは、一寸先も見えぬ闇しかない佐智の記憶の中を照らす、少年の瞳と同じ金色の光。
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