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Capsule5:失くした記憶と縁結び
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「・・・あんたは、できるのか?佐智の心の冷たさを、温めてやれるのか?痛みを取り除いてやれるのか?」
「わからぬ・・・佐智が俺を受け入れてくれるのか、目覚めた時に俺を覚えていてくれるのかもわからぬ・・・だが、俺は、必ず佐智を連れて帰り、思いを伝える。」
「・・・佐智が大事?」
「大事だ。何よりも大切だ。」
「安っぽい言葉だね。それにめちゃくちゃヘタレだ。」
「う・・・」
「佐智が信じるのか、佐智が受け入れるのかわからないよ?」
「だが・・・それでも、やらなければ、伝えなければならぬのだ。」
「・・・あのさ、敵に塩を送りたくはないけど、佐智がほんとにあんたをなんとも思ってない、なんて思ってないよね?」
「・・・・・・あぁ、自惚れでないなら、佐智も俺と同じ気持ちだと思っている。」
「ムカつく」
「なっ・・・質問に答えただけだろうっ!」
「俺は今はこの姿だけど、現実の世界に戻ったら、た~だ周りをふよふよするしかできないんだ。本当は俺が佐智を幸せにしてあげたいのに・・・だから、ムカつく!!自惚れてんなよ!!自惚れんなら、堂々と佐智にハッキリ伝えて、佐智を捕まえてろよ!!あんた・・・ッ・・・あんた・・・神様なんだろ・・・?!佐智を・・・佐智に・・・幸せだって、感じさせてあげてくれよ・・・」
俺に掴みかかり、勢いがありすぎて座り込んだ俺に馬乗りになって胸倉を掴む黒猫少年は美しい金色の瞳も零れ落ちそうな程ボロボロと泣く。
「・・・優しいな、少年・・・」
胸倉を掴んだまま、俺の胸に突っ伏す少年の頭を撫でてやる。
「・・・うるせぇよ、黙れ、さわるな、俺に触っていいのは佐智だけなんだからな・・・」
口が悪い・・・(笑)
「お主が佐智と共にいてくれた事、感謝する。」
「な!!あんたに感謝なんてされたって嬉しくねぇよ!!それに俺は、あんたを認めたわけじゃねぇ!!」
「わかっておる。それでも、佐智を大切に思い、寄り添ってくれていた事に、俺は心から感謝する。」
「・・・・・・うるせ・・・・・・お前のためじゃねぇし、俺の方がずっと前から佐智のこと知ってんだからな・・・ばぁか、ばぁか・・・・・・」
憎まれ口の勢いもなくなり、握った拳でトン、トン、と胸を叩く小さな反抗も愛しい。
「わからぬ・・・佐智が俺を受け入れてくれるのか、目覚めた時に俺を覚えていてくれるのかもわからぬ・・・だが、俺は、必ず佐智を連れて帰り、思いを伝える。」
「・・・佐智が大事?」
「大事だ。何よりも大切だ。」
「安っぽい言葉だね。それにめちゃくちゃヘタレだ。」
「う・・・」
「佐智が信じるのか、佐智が受け入れるのかわからないよ?」
「だが・・・それでも、やらなければ、伝えなければならぬのだ。」
「・・・あのさ、敵に塩を送りたくはないけど、佐智がほんとにあんたをなんとも思ってない、なんて思ってないよね?」
「・・・・・・あぁ、自惚れでないなら、佐智も俺と同じ気持ちだと思っている。」
「ムカつく」
「なっ・・・質問に答えただけだろうっ!」
「俺は今はこの姿だけど、現実の世界に戻ったら、た~だ周りをふよふよするしかできないんだ。本当は俺が佐智を幸せにしてあげたいのに・・・だから、ムカつく!!自惚れてんなよ!!自惚れんなら、堂々と佐智にハッキリ伝えて、佐智を捕まえてろよ!!あんた・・・ッ・・・あんた・・・神様なんだろ・・・?!佐智を・・・佐智に・・・幸せだって、感じさせてあげてくれよ・・・」
俺に掴みかかり、勢いがありすぎて座り込んだ俺に馬乗りになって胸倉を掴む黒猫少年は美しい金色の瞳も零れ落ちそうな程ボロボロと泣く。
「・・・優しいな、少年・・・」
胸倉を掴んだまま、俺の胸に突っ伏す少年の頭を撫でてやる。
「・・・うるせぇよ、黙れ、さわるな、俺に触っていいのは佐智だけなんだからな・・・」
口が悪い・・・(笑)
「お主が佐智と共にいてくれた事、感謝する。」
「な!!あんたに感謝なんてされたって嬉しくねぇよ!!それに俺は、あんたを認めたわけじゃねぇ!!」
「わかっておる。それでも、佐智を大切に思い、寄り添ってくれていた事に、俺は心から感謝する。」
「・・・・・・うるせ・・・・・・お前のためじゃねぇし、俺の方がずっと前から佐智のこと知ってんだからな・・・ばぁか、ばぁか・・・・・・」
憎まれ口の勢いもなくなり、握った拳でトン、トン、と胸を叩く小さな反抗も愛しい。
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