秘密~箱庭で濡れる~改訂版

焔 はる

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八章

夜の蝶は秘密を抱いて苗床となる②⑦

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「ヒナ、ユウキを。」



部屋に着いてすぐに晃介様はそうヒナさんに声をかけ、ヒナさんは頭を下げて僕の背に触れ、部屋のバスルームへと促した。



「あの、僕、大丈夫」



「いや、構わないから身体を綺麗にして傷があるのなら手当をしておいで。」



さっきまでの咲藤様への怒りや威圧感が嘘のように消えた晃介様が、お客様の部屋のバスルームを使うなんてと辞退したかった僕の言葉を遮って安心させるように笑みを向けてくれた。



「申し訳ありません晃介様、感謝致します。」



僕の背に触れたままヒナさんが深く頭を下げ、はっとした僕もならって頭を下げた。


せっかくの厚意を無下にしてはそれこそ失礼に当たる。


同じ言葉の応酬を繰り返すなど以ての外で、それならば部屋の主人の厚意に甘えるのが正解のはずだ。



「お気遣いありがとうございます。」



「あぁ。気にせずにゆっくり温まってくるといい。」



ソファーに身体を預けた晃介様の横に手を引かれた美比呂様も腰を下ろし、僕と目が合うとふっと優しく微笑み頷いた。



僕はもう一度頭を下げ、ヒナさんと共に脱衣所に入り、バスタオルを外し、汚れた衣装を脱ぎ捨てた。








「・・・酷いわね。噛み痕に、強く掴まれた手痕は内出血してる・・・」



僕の全身をチェックしながら、ヒナさんは顔を歪めて傷にそっと触れる。



「けど僕は商品ですし・・・」



「商品だからよ。私たちはブーゲンビリアの商品なの。ノラはお客様の相手もするけれど、傷を負わされたりノラ自身の心身を傷つけることは禁止されている。わかっているでしょ?」



「・・・はい。」



少し厳しくなった先輩のノラの言葉を僕は肯定するしかなかった。



「・・・ノラはお客様を受け入れる。けれどね、自分自身を蔑ろにしていいわけじゃないのよ。」



素肌に触れたヒナさんのひんやりした手にそっと押しやられて、バスルームには2人きりになった。



僕よりも10歳以上年上で、ブーゲンビリアのノラの中でもベテランのノラで、大先輩のヒナさんとは一緒の担当になることもこれまでなく、まだ見習いの僕にとっては憧れであり、逆らうなんてできない別格の先輩ノラだ。



そんな人と2人きりになるなんて想像したこともなく、若干の緊張を抱きながら僕は弱いシャワーで肩からお湯を流され、壁に手を着いて肩幅に開いた足の間、咲藤様を何度も受け入れたソコにヒナさんが触れた。



「・・・痛む?」



「いえ、だいじょ、う・・・ぶ、です」



「・・・馬鹿ね・・・血が固まってる・・・きっと痛むでしょうに・・・でも、ナカに入ったままなのもよくないから・・・」



ソコに触れる指は物凄く優しく、そーっと撫でるようにお湯を臀部の上から流しているのに、反射的に身体はビクッとなり、大丈夫と告げたはずの声は震えてしまった。



「外側の固まった体液や血液を流すけど、痛かったら我慢しなくていいから言いなさいね」



「・・・はい、すいませんヒナさん・・・」



「・・・ふ・・・叱られた犬みたいにしょんぼりしないで」



何が可笑しかったのか、ふふ、と笑うヒナさんが、固まったものをそっと剥がしていく。



尻の穴の入り口に少し触れられると身体は緊張してしまうし息を詰めてしまうけれど、その度にヒナさんは前へと手を滑らせて、僕のペニスに手のひらを添えて下腹部側からシャワーを当て、流れ落ちる水流でまずは流し、優しく手のひらや指で包み込んで先っぽから竿、裏側、玉までを丹念に優しく洗ってくれた。



「・・・・・・後ろは・・・ローションを使いながらやるけれど、無理しなくていいからね。」



「はい。」



ヒナさんにされるがまま、僕は身体を任せていた。



お客様用として脱衣所に用意してあるローションのボトルを手にしたヒナさんが、ポンプから手のひらにローションを出して、僕の背後、真下からソコが見える位置に膝を着いてしゃがんだ。



「・・・触れるわよ・・・」



にゅる・・・っとした感触に身体は震え、けれどそれは快感ではなく、気にしていないつもりであっても無理矢理こじ開けられた恐怖を身体は覚えていて、壁に着いた手をきゅっと握り締めていた。



「・・・ッ・・・」



「痛い・・・わよね・・・」



入り口に触れてクチュクチュと指先を沈めたり、戻したり、ヒナさんは俺の様子を伺っているようだった。



「・・・っ・・・だ、ぃ・・・じょ、う・・・ぶ、です・・・」



「・・・・・・少しずつ、入れるから・・・」



にゅちゅ・・・



「っふ・・・ぅ・・・」



ローションのぬめりがあるとは言っても、いたぶられて傷を負ったソコは痛みと緊張の為に強張ってしまう。



ヒナさんの指が少しずつ、少しずつナカに侵入してきて、無意識に締め付けるようにしてしまうと、僕のソレはこんな状況にも関わらず・・・



「・・・ユウキ・・・あなた・・・」



驚いてから、呆れたようにヒナさんは声を漏らして、主張し始めたソレを「もう」と窘めるようにピン、と弾いた。



「っん・・・すいま、せん・・・」



「仕方ないわ・・・ノラはみんな、そう作られているんだもの」



呟いたその声は、優しく労わるように僕に触れる指とは異なり、少しだけ寂しそうだった。




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