秘密~箱庭で濡れる~改訂版

焔 はる

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八章

夜の蝶は秘密を抱いて苗床となる⑪

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犯す・・・


犯す・・・


この雌は俺のだ・・・


腹の子も・・・


この女も・・・


全部・・・俺のものだ・・・




抑えきれない凶暴な欲望。


親子ほど年の離れた可愛らしい女の子をずっと大切に慈しんで育ててきた。


怖がらせないように、逃がさないように、嫌われないように、俺だけが美比呂の味方だと教え、信じさせてきたのだ
・・・。




「あ”ぅんッ・・・んぅッく、ァぅッふ、ぅ、ん、ん”っく、ぅ・・・は、ァ、あ”ッ・・・んゃ、ぅッ」


「啼け・・・美比呂・・・もっと・・・もっと啼いて、俺の雌だと身体で理解するんだ・・・」


「うァッあァッ・・・んんーーッ」




じゅぶ・・・ッ

ぐぶッ・・・

ぬっぷ・・・ぬっぶ・・・ッ






「あァ・・・っ・・・素敵・・・素敵よっ・・・美比呂さん・・・!ほしいわ・・・うちのノラに欲しいっ・・・」


「ふふ・・・マダムは余程美比呂さんを気に入ったようですね。」


「えぇ・・・あんなに上質な雌猫はいないわ・・もっと早く見つけられていれば・・・!」


「美比呂さんは、伊坂会長が彼女が大学生の頃に見つて以来ずっと慈しみ育てて来た愛猫です。他のどんな男の手にも穢されていない・・・あの方の手しか触れていない肌・・・残念でしたね、マダム。」


「・・・・・・もう・・・意地悪ね・・・」


マダムは悔しそうに拗ねて唇を突き出し、ソファーの背もたれに身体を預けてステージの上の淫らな交わりを眺める仮面の男の頬に背後から指を滑らせた。

指にならうように男の顎が上がり、見上げたそこには天井ではなくこの館の妖艶な主の真っ赤なルージュの唇があった。


「・・・・・・ふふ、ごちそうさま。」


軽く重ねるだけの口づけを男の唇に落とし、顎の下から喉元へ指先を下ろして再び喉を撫でてマダムは身体を離した。



「伊坂様には絶対服従の腹心・・・代替わりをしてもそれは変わらないのね。」


「・・・・・・当たり前です。私には、あの方が全てですから。」


仮面の男は、マダムのルージュが付いた唇を指で拭い、大きく開いた長い足の間で股間に顔を埋める、パートナーとして用意させていた『ノラ』の頭をそっと押し退ける。


「もういい。部屋へ戻り、この後の準備を。」


どんなに扱き、口に含んで舐め上げようともソレは大きくはならなかった。


ノラとしてどんな男性も、どんな女性も悦ばせることができるように教育を受けてきたのに、その男の状態は自信を失うかにも思えたが、ソレすらも客の身体は千差万別・・・いちいち感情に振り回されていたのでは、淫らな館『club bougainvillaea(ブーゲンビリア)』のノラは務まらない。


じゅる・・・っと男のペニスを舐めて口内から解放し、下着もスラックスもきっちり整えてからノラは顔を上げて、髪に触れる仮面の男の手に頬を寄せた。


「・・・あのローションを使う手筈ではなかった。皆が使う露天へ向かうか・・・自室へ戻るか・・・どちらにも対応できるように頼む。」


「かしこまりました。」


男の手に自らの手を重ね、微笑むとノラは立ち上がり、そっと席を離れた。




会長の指示で俺は『club bougainvillaea(ブーゲンビリア)』に客として先に宿泊していた。


あのノラは連れの猫として立ち居振舞うよう今回の滞在中契約したものだ。


俺の立場は伊坂会長がまだ社長の時代だった頃、拾って頂き秘書となった。


代替わりをして息子の晃臣氏が会社を継いでからも、俺もの正式な主は晃介様。




赤ワインを口内で転がし、我を忘れて美比呂の中に自身を刻む晃介様に俺は僅かな驚きを覚えた。


大学生の美比呂が行きつけのクラブにアルバイトで入店した時に見初め、孤児として施設で育った美比呂に様々な援助をし、初めて手をつけた時など、中学生のガキのように嬉しそうに緩んだ顔をしていた晃介様が、催淫ローションでこれほど我を失い、獣のように美比呂を犯すなんて・・・。


・・・面白いじゃないか。


晃介様も美比呂も、催淫ローションの効果が切れれば、本能のままに求め合った淫らなこの時間の記憶は消え失せる。


当の本人は覚えていないのに、傍観者の俺は・・・覚えている・・・。


「くっ・・・ふふ・・・・・・」


「・・・咲藤さきとう様・・・?」


抑えられない笑いに、マダムは怪訝そうな顔を向けた。


「いや・・・すまない・・・俺は悔しいのかな・・・それとも・・・嬉しいのだろうか・・・」


俺が長年見ることができなかった晃介様の本能を見れたことが・・・


それとも・・・それを引き出したのが、向けられているのが美比呂だということが悔しいのだろうか・・・



どちらかわからないが、ノラにフェラチオをされてもなんの反応も示さなかった俺の股間は今、複雑な俺の感情に呼応するように激しく勃起し、スラックスの中で苦しいほど存在を主張している。



「・・・咲藤様・・・難儀なものですね・・・あなたの嗜好も・・・」


「・・・・・・ふ・・・とんでもない・・・愉しいことの幕開けかもしれませんよ・・・?マダム・・・」



確かに美しい美比呂・・・


俺では晃介様を満たして差し上げる事は適わない・・・


だから俺は、俺にしかできない事をして、お傍にいる意味を見出していく。








夜の蝶は秘密を抱いて苗床となる。⑪END
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