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 歩の訃報が流れてから、テレビでは頻繁には報じられなかったが、ネットでは連日『都月歩』に関する記事が並んでいた。


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【都月歩さんに何があったのか!?】
 今月●日、自宅マンションの浴槽で溺れている都月さんをマネージャーが発見した。手首に傷があり、自殺と見られている。
 都月さんは当日休みを取っていた。ドラマの撮影期間に入っていたがその前日に体調を崩し、スタッフの配慮で翌日は大事を取ってスケジュールは入れていなかったという。本人の希望で一日休んだら翌日から仕事に復帰する予定だったが、念のためマネージャーがその様子を見に自宅を訪ねたところ応答がなく、管理会社に相談して鍵を開けてもらい室内を探すと、風呂場の浴槽で溺れている都月さんが発見された。今のところ事件性はないと見ているが現在警察が調査中で、事務所は何か分かり次第報告するとしている。



【都月歩さんは何かに悩んでいたのか?】
 都月さんと言えば、爽やかな笑顔が魅力的でどちらかというと温厚なイメージが強い。その一方でこだわりも強く、役に対する自分の受け取り方と監督が求めるものに相違が生じて、口論になることもあったという。
 周りが求める自分のイメージの固定化に悩んでいたとも知人は語っている。



【都月歩さん『イケメンすぎる警察官』と言われ芸能界入り】
 都月さんが芸能界入りしたきっかけは地元で『イケメンすぎる警察官』としてネットで騒がれたことに始まる。そのことがテレビでも取り上げられると「あのイケメンは誰?」と視聴者から質問が殺到し、芸能界も彼を放っては置かなかった。すぐにスカウトされて芸能界入りし、彼はその容姿を活かしてタレント、モデル、俳優など多岐の分野に渡って活躍し、わずか数年で好きな俳優ランキングでは常に上位に並ぶ人気俳優の座にまで上り詰めた。
 しかし本人はその表面的な評価が悩みでもあったようだ。その裏にある努力を知る仕事の関係者は、彼がその外見の良さだけに頼ってここまで来たのではないことを知っている。彼は一時的にブレイクするだけの人間にはなりたくないと努力を怠らなかったという。
 容姿端麗で与えられた仕事を卒なく熟し、一見なんでも手に入れてきたかのように見える彼だが、実はとても嫉妬深いらしく、自分にはないものを持っている人を羨ましく思うと同時に、どうにかして自分もそれを吸収しようとする貪欲さを持っていた。幅広い役を演じるためにさまざまな分野に興味を示し、トーク力を身に付けるために芸人とも交流を持っていたと雑誌の対談で本人が語っている。
 本人曰く自分にはこれだと言える特技のようなものがないらしく、強みになるものを欲していた彼は、ある時ものすごい衝撃を受けた。
 映画「ラ・ラ・●ンド」である。彼は劇中で圧倒的なピアノパフォーマンスを見せた主演俳優に憧れてピアノ教室に通い始めたと、これも本人が語ったエピソードの一つだ。そのパフォーマンスに魅せられた彼は、自分もあんな風にすごいパフォーマンスができるようになりたいと思い、ピアノのレッスンと同時にボイストレーニングも受けていたという。
 他にもある。負けず嫌いな彼は、外国で舞台挨拶した時、英語でうまく伝えられなかったことを悔やみ、それを機に自分のイメージを自分の言葉で伝えられるようにと、英語学習にも励んでいた。
 さらに俳優としての幅を広げるために、将来海外進出も夢見てアクション教室にも通い、教養や技術を身に付ける努力をしていたという。今後彼の出演作を見る際は、そんな努力が背景にあったことも思い浮かべながら見たいものだ。


【急逝した都月歩さん。芸能界にも哀しみが広がる】
 今月●日に急逝した俳優の都月歩さん。そのあまりに突然の別れに、全国に哀しみが広がり、芸能界にもその若すぎる死と、才能を惜しむ声が上がっている。
 都月さんは元警察官という異色の経歴を持つ。デビュー前に彼が勤務していたのはどちらかというと田舎に近い地域にある派出所だった。そんな目立たない場所で働いていても周りが放って置かないほどの端正なルックス。元警察官ということもあり、正義感が強く、逞しさとやさしさを併せ持っていた。彼がどんな人物だったかを聞いて悪く言う人はいない。
 ドラマで共演した俳優の岩永雪三郎はこう語っている。
「まだ若いのに、俺の半分も生きてないのにさぁ。心から悔しくて惜しくて堪んないよ。彼は才能の底が知れなかった。大変な努力家だったみたいだけど、それだけじゃあないね。彼には華があった。そこに居るだけでパッと花が咲くっていうの? とにかく華があった。聡明で凛として、匂い立つ色香があって……。時代劇で沖田総司とか、刀が似合うから侍の役をもっとやってほしかったなぁ。殺陣もやってるうちにどんどん巧くなってったし、ゆくゆくは大河で主役も張れたと思うよ。見たかったなあ、歩が主演の大河。本当に残念としか言いようがない。本当に惜しい人を亡くしたよ」と頭を振って嘆いていた。
 事務所の後輩の結城凛太は「大好きな先輩です。ちょい役で出演させてもらった時(同じドラマで)、一緒に写真を撮ろうって言ってくださって、インスタにまでアップしてくれて、すっごくうれしかった……」と声を詰まらせていた。
 バラエティ番組で共演経験のある常田時雨は「弟みたいにかわいがってもらってました。事務所は違うんですけど、番組でご一緒するといつも僕の楽屋に差し入れを持って来てくださって「あのドラマ見たよ」って、いつも励まされてました。いつか映画で共演する日を楽しみにしてたんですけど……」と涙を浮かべていた。
 後輩思いで礼儀正しくて、先輩からも後輩からも好かれる人柄。都月歩という人は知れば知るほど好人物で、失った悲しみは増すばかりだ。
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 動画配信サービスで先行配信していたドラマはファンからの熱い要望があり、協議の末予定通り地上波で放送されることが決定した。連ドラのほうも再編成されて放送される予定だ。それに伴い歩の芸能活動を振り返る記事が並び、さまざまな憶測も飛び交うようになった。


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【悲しみ消えず。都月歩さんの素顔とは?】
 あまりにも突然この世を去った彼の死の衝撃はまだ続いている。ファンだけでなく、多くの人からその死を嘆く声が上がっている。都月歩さんの存在の大きさに改めて気付かされる毎日だ。
 そんな彼の魅力とはなんだろう? 数えれば切りがないほどだ。完璧なまでの端正なルックス。何をやっても様になり、俳優としては自分とはかけ離れた役であってもその役そのものになりきってしまうため、悪役をすれば嫌いになる人さえいたほどだ。しかしそれも一時的で、作品から離れればその人柄の良さに魅了され、また好きになってしまうの繰り返しだ。どれだけの人が彼に憧れ、魅了されてきたことか。人気実力共に手に入れ、順風満帆な人生を送っているとしか思えない彼に何があったのか? ファンならずとも知りたいはずだ。
 だが、その理由を探ろうとすれば、知りたくないことも見えてきてしまう。人柄も素晴らしい彼でも誰かと衝突することはあったようだ。ある作品のあるシーンで、台本に書かれていた台詞と演技の内容に納得ができなかった彼はそのことを監督に伝え、人波乱あったという。後に同監督の他作品にも出演を果たしているのだが、その関係は燻ったままだという声も上がっている。


【延期? 都月歩さんが果たせなかった事】
 都月さんはアジアで教育が受けられない子供たちのために、彼らが安全に通える学校を建設するプロジェクトに参加していた。今月その予定地に視察に行く予定だったという。
 ところが出発予定日の数日前になって、事務所のほうから「現地付近でテロが勃発し、危険だから延期になった」と言われた都月さんは現地スタッフに問い合わせた。するとプロジェクト以前からよくあることなので、これからもそれはなくなることはないだろうと言われ、それなら自分だけでも行きたいとその旨を事務所に申し出たが反対され、もめたという情報もある。

 
【都月歩さん。その行動を振り返る】
 今月●日、関係者の話によるとその日は都月さん本人が休みを希望したのではなかったという。ドラマの撮影中、監督が都月さんの体調の異変に気付いたらしく、代わりにスタッフがそのことを伝えて都月さんに休みを取るよう進めたのだという。マネージャーも、もし倒れでもして周りに迷惑をかけてはいけないと都月さんを説得し、翌日の仕事をキャンセルした。ストイックな都月さんとしては仕事に穴を開けることは不本意だったのかもしれない。
 誰かを責めるわけではないが、結果としてそれは彼を良くない方向へと導いてしまうこととなってしまった。責任感の強さは時に人をそこまで追い詰めてしまうのか。
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「勝手に決めつけないでよ!」
 歩が生前何を思っていたのか、なぜこんな悲しい結果が生まれてしまったのか、それは当事者にしかわからないことだ。あるファンの女性は、歩が自ら死を選んだと思わせるような報道の仕方に不信感を抱かずにはいられなかった。不審な点はいくつもあるのに、そんな片付けられ方をされることが悔しくてたまらなくなる。
 
「歩くんは自殺なんかしてない。命の大切さを歩くん自身が一番よくわかってたのに、そんなことするわけない!」

 彼女はそこである決心をした。このまま放置するわけにはいかない。歩くんはこの世界に絶対必要な人だから……


   「DEAD ENDにはさせない」


 そうタイトルを決めると、彼女は物語の執筆を開始した。


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  『コンコン』とノックする音が……



・・・・・✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧・・・・・

 ふわりと白い布が舞う。

 またあの顔が認識できない謎の人物が現われた。

 あなたは?……

 今度こそそう問いかけようとするが

「……!」

 また声が出せない。 


 次の瞬間

 白んだ世界が




――――――――――暗転した――――――――――……





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