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しおりを挟む「ただいまー」
「サリー?帰ったよ!サリー?」
いつもなら既に明かりを灯している家の中が暗い
おかしい
最近妻は体調を崩していた為
出かける事はほとんどなくこの時間は家にいるはずだ
なんとなく嫌な予感がした俺は
忙いで寝室に駆け込んだ
そこにはサリーがベッドで横になっている
覗き込むが顔色が青白く生気がない
俺は理解するのが嫌で医者の元へ走った
サリーを一目見た医者はっと息をのんだ
「サリーは!サリーは大丈夫なのか!!」
医者は少しの間は置いて
「彼女は、既にお亡くなりになっています」
「嘘だ!嘘だろ!彼女は今朝まで生きていたんだ!!!
今日は調子がいいと笑いながら、俺を見送ってくれたんだ!そんなのは認めない。サリー目をあけて?ほらサリー?」
医者の言葉に俺は一気に身体が熱くなる
次第に目の前がモノクロへと色をかえる
そんな事はない
あるはずないんだ!サリー・・・
気がつくと俺はベッドで横になっていた。
俺が起きた気配を察したのか医者が入ってきた
あの後俺は彼女の死を認めないと喚きながら
意識を飛ばしたそうだ
そして今朝元気そうだったサリーが
何の病に犯されていたのか俺は食い気味にきいた
「奥様は病でお亡くなりになったのではなく、ミュゲの毒を飲まれたのです。そしてミュゲの毒が入った小瓶と手紙が近くにありました。恐らく.....自殺かと思われます」
うまく言葉が入ってこない
毒...?ミュゲ.....?自殺?
妻は笑っていて....そうだ。笑顔だったんだ
それなのに?
「ふざけるな!妻は今朝も幸せそうに笑っていて、何を根拠に自殺だというんだ!それにミュゲは妻の好きな花だが、毒なんてきいた事ないぞ」
「ミュゲには毒が含まれています。その毒を多量に飲めば死に至ります。自殺に関しては空き瓶と一緒に此方に手紙も置かれていたのでご確認ください」
俺は医者から
小瓶と手紙をひったくると被せる様に医者は言った
「最後に。奥様は体調を崩されていた様ですが、それは病ではなく妊娠のせいでしょう」
そう言って一礼をした彼は静かに出ていった。
きっと亡くなった者がいると、
いつも通り連絡手順を踏むのだろう
妊、娠?
揺れる視線を白い紙にとめ
ゆっくりと震える手で手紙をひらいた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
マークス
私はあなたのお陰で強く生まれ変わるわ
今までどんなに辛くても
怖くて避けていた一歩を踏み出すの
あの子とあなたの子とお幸せに
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
手紙にしてはあまりに短い
そして、お世話にも綺麗とは言えないが
愛しい妻の書体だった
うあああああああああああああああ
まさか。
そんな
君が知っていたなんて
それが理由?
すまない
すまないサリー
俺はそれでも君を愛していた
君を幸せにするつもりだったんだ
それに俺の、俺たちの子供も.......
穏やかな日常が地獄の様に感じた
そして、とめられない叫声はやがて静寂になる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
医者から自殺者の連絡を受けた兵がみたのは
女の隣に同じ様に青白く寄り添う男の姿だった
あとがき。
ミュゲは鈴蘭
サリーは妊娠の事を知らずにその道を選んだ
ミュゲには毒がある事を知っている
彼女が幼い頃からミュゲの花が好きだった理由
それは....
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