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いつもは彼の帰宅を意識させる茜色の空が
今は地獄に突き落とされたのかと錯覚させるほどに痛い
目の前には彼と私よりも若く愛らしい女性
そして、2人の間には愛らしい男の子
3人は手を繋ぎながらも別れを惜しんでいる様にみえる
彼は男の子を抱きしめそして.........
彼女に、そっと口付けた
気がつけば私は家に戻っていて
こんな状況でも
買い物袋はしっかり持ち帰っていた事に笑ってしまった
最近体調が良くなく彼に頼り切りだったくせに
久しぶりに美味しいご飯を作ろうと
買い物にいったのが悪かったのか
彼はこれから帰ってくるのだろう
騎士をやっている彼が
今日は怪我をした同僚の代わりに
仕事になったというのはきっと嘘なのだろう
早くに母が亡くなり私は父と暮らしていた
父は粗暴な人で日常的に暴力は当たり前だったし
幼い頃から実の親に蔑まれた私は
この日常から逃げたかった
でも勇気も知識もない私にできたのは
結局のところ、少しでも父との関わりを断つ為に
外で時間を潰す事だった
そんな時に出会ったのが彼だ
彼は最近街に越してきたらしく
こんな私と普通に接してくれた
そんな優しい優しい時間が1年、2年と続き
父が亡くなった19の時
「結婚しよう!これからも僕に君を守らせてほしい」
片膝を着き、私の大好きな
ミュゲの花束を差し出す彼
見つめるサファイアブルーの瞳に
私は嗚咽まじりで可愛らしくない返事をしたの
あれから3年
本で読んだ通りね
人間本当に辛い時は声も涙も出ないのね
今迄は諦めて逃げてそんな人生だったもの
最後ぐらいは自分の意思で強く変わりたい_____
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
しだいに濃くなる茜色が哀愁を漂わせる
「もうこんな時間か」
「ふふ。楽しい時間はあっという間ね」
そう。あっという間だ
俺は今若く愛らしい彼女と彼女の弟と一緒に
穏やかな日を過ごしていた
彼女との出逢いは
酔っ払いに絡まれているのを助けたのがきっかけだった
話を聞くと両親を早くに亡くし
幼い弟と暮らす為に働きに出ていた所だという
最初はただの正義感だった
何かあれば頼る様に伝え
それからも街で会えば話すようになった
幼い弟にも会ってしまえば
中々子供ができない俺の願望の代わりにと
可愛いがるうちに情も出てきた
弟の為と頑張る彼女の姿にも次第に胸が熱くなり
お互いに妻がある身だとわかっていても
特別な関係になるのに時間はかからなかった
彼女と弟と俺でまるで家族の様なひとときを過ごし
今日も妻の待つ家へと脚を向ける
妻を愛している
それは変わらない
幼い頃に出会った彼女
虚ろな瞳に体を縮こませていたのに
俺が話かけると瞳に綺麗な色がさすのだ
あれから大切に大切に守ってきた
そしてこれからも
ただ、大切が彼女以外に増えるかもしれない
そう。
ただ、それだけだ
今は地獄に突き落とされたのかと錯覚させるほどに痛い
目の前には彼と私よりも若く愛らしい女性
そして、2人の間には愛らしい男の子
3人は手を繋ぎながらも別れを惜しんでいる様にみえる
彼は男の子を抱きしめそして.........
彼女に、そっと口付けた
気がつけば私は家に戻っていて
こんな状況でも
買い物袋はしっかり持ち帰っていた事に笑ってしまった
最近体調が良くなく彼に頼り切りだったくせに
久しぶりに美味しいご飯を作ろうと
買い物にいったのが悪かったのか
彼はこれから帰ってくるのだろう
騎士をやっている彼が
今日は怪我をした同僚の代わりに
仕事になったというのはきっと嘘なのだろう
早くに母が亡くなり私は父と暮らしていた
父は粗暴な人で日常的に暴力は当たり前だったし
幼い頃から実の親に蔑まれた私は
この日常から逃げたかった
でも勇気も知識もない私にできたのは
結局のところ、少しでも父との関わりを断つ為に
外で時間を潰す事だった
そんな時に出会ったのが彼だ
彼は最近街に越してきたらしく
こんな私と普通に接してくれた
そんな優しい優しい時間が1年、2年と続き
父が亡くなった19の時
「結婚しよう!これからも僕に君を守らせてほしい」
片膝を着き、私の大好きな
ミュゲの花束を差し出す彼
見つめるサファイアブルーの瞳に
私は嗚咽まじりで可愛らしくない返事をしたの
あれから3年
本で読んだ通りね
人間本当に辛い時は声も涙も出ないのね
今迄は諦めて逃げてそんな人生だったもの
最後ぐらいは自分の意思で強く変わりたい_____
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
しだいに濃くなる茜色が哀愁を漂わせる
「もうこんな時間か」
「ふふ。楽しい時間はあっという間ね」
そう。あっという間だ
俺は今若く愛らしい彼女と彼女の弟と一緒に
穏やかな日を過ごしていた
彼女との出逢いは
酔っ払いに絡まれているのを助けたのがきっかけだった
話を聞くと両親を早くに亡くし
幼い弟と暮らす為に働きに出ていた所だという
最初はただの正義感だった
何かあれば頼る様に伝え
それからも街で会えば話すようになった
幼い弟にも会ってしまえば
中々子供ができない俺の願望の代わりにと
可愛いがるうちに情も出てきた
弟の為と頑張る彼女の姿にも次第に胸が熱くなり
お互いに妻がある身だとわかっていても
特別な関係になるのに時間はかからなかった
彼女と弟と俺でまるで家族の様なひとときを過ごし
今日も妻の待つ家へと脚を向ける
妻を愛している
それは変わらない
幼い頃に出会った彼女
虚ろな瞳に体を縮こませていたのに
俺が話かけると瞳に綺麗な色がさすのだ
あれから大切に大切に守ってきた
そしてこれからも
ただ、大切が彼女以外に増えるかもしれない
そう。
ただ、それだけだ
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