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第一章 運命に抗うドブネズミ
16・戦いの夜
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俺たちは無事に管理所で報酬を得ることができた。ムキムキリスを五匹も狩ってきたことには、アンドレも驚きを隠せなかったようだ。だが、一部の冒険者からは陰口が聞こえる。
「ま、僕でも楽勝だけどね」
「だよな、ヨチヨチ歩きの赤ちゃんが相手にするには丁度いい魔物だ」
そういってるのは大抵、火属性か風属性だ。あいつらは生まれながらに倍率が高えからな。だが、前に親切にしてくれたべルートほどの腕じゃねえな。たぶんだけどよ。やっぱよ、本当に強えやつはコソコソ人の悪口を言ったりしねえんだと思うな、俺は。
「よし、金も入ったし、ちょっと店でも回ってみるかな。メルリ、お前はどうする?」
「いえ、私は用がありますので」
「そっか、じゃあまたな」
たぶんメルリが黒ならよ、これから盗賊たちに会いにいくんだろう。後を付けないのかって? まだ日が高えうちは難しいな。それによ、俺は店主にこの葉っぱについて聞かなきゃなんねえ。……正直な話をしていいか? 俺はまだよ、心のどこかでメルリは白だって思いてえんだ。もしかしたら、夜にしかとれねえ獲物がいてよ、それに必要な素材、ってことも考えられる。……まあ、盗賊が暴れだした時期とあまりにも合致し過ぎてるがな。もちろん、コリンかアンドレに相談するって手もあんだけどよ、できれば自分である程度の証拠を掴みてえんだ。
「よう、店主」
「おう、闇属性。また塗り薬か?」
「ああ、買わせてもらうよ。大樹海はあちこち擦り傷ができっからな」
「そりゃそうだ。人の手が入ってないところばかりだからな。毎度」
実際、塗り薬はかなり重宝する。余裕ができたら魔法の効果がある回復薬も買いてえが、それ一つでしばらくは野宿になっちまう高級品だ。だからよ、塗り薬以外にも包帯なんかも買った。店主の奴、俺があれこれ買うたびに笑顔が増えていきやがる。わかりやすいやつだ。
「毎度どうも! 今後ともご尾贔屓にな!」
「おう。ここで優先的に買わせてもらうぜ。で、一つ質問なんだが、いいか?」
「ああ。なんなりと」
「これ、なんだかわかるか?」
店主に例の枯れ葉を見せると、顔色が変わった。
「おお、珍しい。最近はめっきり見かけなくなったね」
「そうなのか?」
「……ま、いいか。あんたを騙して安値で買い取ることもできただろうが、あんたはお得意様だ。いいかい、これにはね、魔法の睡眠作用があるんだ」
「睡眠作用?」
「そう。これを粉になるまですり潰して部屋にまけば、朝までぐっすり眠れるってわけだ。健康に害はないし、変な臭いもしない。それなりに高く売れるよ、これは。王都でも一時期人気が高かったんだが、生息場所が移るからね~、これは」
「そっか、ありがとな」
「おいおい、売らないのかい? 高く買うよ?」
「今度売らせてもらうぜ。しばらく待っててくれ」
やっぱりな。あの枯れ葉を相当数手に入れてるのに店に出てねえってことは、それ以上の価値を生み出すのに使われてるってことだ。だって考えてもみろよ。あれを小出しに売るだけでもよ、大儲けできるわけだろ? それを売らねえってんだからよ、それはつまり、そういうことなんだろうよ。後はどう対策をするか、だが……。いや、焦っちゃいけねえ。メルリと仲良くなって、情報を集めねえとな。
その夜、早速チャンスがやってきたようだ。昼寝して体力も万全だからよ、メルリが動かねえか、廊下に耳を澄ませてたんだよ。そしたらよ、夜中にメルリが廊下を歩く音が聞こえた。あいつ、体が軽いからな。注意して聞けば足音でわかんだよ。この安宿の床は軋むから余計にな。
宿をでた扉の音に合わせて、こちらも動き出す。……なんか、こういうのは楽しいな。しかもよ、夜は闇属性の俺にとって好都合だ。気配も消せるし夜目もきく。暗いところを通りながら尾行すればよ、まず気づかれることはねえ。
んで、あいつがどこへ向かったかというと……おいおい、町から離れちまうのか? こっちは大樹海のほうだが……。よし、今日は月明かりも小せえからな、あたりは真っ暗だ。何もかも俺に都合がいい。お、道を外れやがった。ここらで盗賊どもと合流すんのか? あ、でもよ、メルリが俺と冒険してる間も盗賊被害は出てたよな? ってことは……例の枯れ葉を取引してんのかもな。今日はその姿を確認するだけでいい。そしたらよ、流石にコリンかアンドレに相談してよ、盗賊団を一網打尽にしてやろう。それにしても随分奥までいきやがる。町で盗みに入るのによ、こんな遠くで全員集合ってか? 用心深いこって。あっ! 急に走りやがった!
ぐ! なんだ? 急にまぶしく……。
「ようこそ、地獄へ」
この明かりは松明か……。そんで、今の声の主は……。
「あ! 顔面凶器!!」
「誰が顔面凶器だ! ドゲスだ! 覚えておけ! ……まあもっとも、お前はすぐにあの世行きになるわけだがな。ドブネズミちゃん」
まぶしいと思ったらよ、周りに四人……いや、五人も盗賊がいやがる。その中の一人は……言わなくてもわかるよな?
「やっぱり、バカですね、ラットさん。私のことを探ったりしなければ、こんなことにはならなかったのに」
「バレバレだったわけか。メルリ」
「喧嘩は弱くても、冒険者としては私の方が先輩です。……なんて、言える立場じゃないですね」
「おお、結構大きな声がでるじゃねえかメルリ。じゃあ、最後に聞かせろよ。お前、絵描きの夢も嘘ってことはねえよな」
「……嘘なわけ、ないじゃないですか。だからラットさん。私の目標のため、あなたにはここで死んでもらいます!」
「よお、もういいか? さ、なぶり殺しの時間だ……」
ドゲスの顔がよりゲスになってんな。ここまでくると、一つの芸だろ。あの顔ならよ、ムキムキリスも怖がって逃げんだろぜ。
「え?」
「そんで、メルリ。てめえももう用済みだ」
「きゃっ!!」
ドゲスの奴、メルリもこっちに放りやがった。なるほど、お前も十分バカだったんだな。メルリ。
「そ、そんな! ちゃんと協力してきたのに!」
「いやぁ。もうあの周辺が危険だって話は浸透してるからなぁ。それに、お前そこのネズミに気づかれてるじゃねえか。そんな無能はいらねえんだよ。そうだ、さっきのお前の台詞を借りてやろう。俺たちの目標のために、ここで死んでくれ、メルリ」
周りのやつらが笑いやがる。いやいや豪快な笑いだけどよ、流石にこれはないわな。
「メルリ。お前は人を見る目がねえな。だがな、運だけはよかったようだぜ」
「え?」
一気に部屋ともう一人の俺のイメージを鮮明に思い出す。だが、もちろん深く探りすぎるな。
「ラットさん、どうしたんですか?」
「ごちゃごちゃうるせえ! お前ら、いけぇ!」
四方からドゲスの手下どもが攻めてくる。ドゲスは松明の火に照らされて、もともとドギツイ顔がさらに悪くなっていやがる。よし、ちゃんと周りは見えてるな。
「ぎゃ!」
まず一人。こいつら、これで本気なのか? ああ、そういや冒険者でうだつが上がらなかった奴が盗賊になるんだったな。にしても、これならリスの方が強えんじゃね?
「な、なんだこいつ! 闇属性のくせ、ぐわぁ!」
はい二人。簡単に斬れるな、こいつら。いや、また俺の力が上がってんのか。
「ど、ドゲスさん! こいつ、やばわっ!!」
これで三人。全員利き腕を斬り落としてやったからな。これでもう、悪さはできねえだろ。ってか、ほっときゃ死ぬな、これ。
「お、おいお前、待て!」
残りの一人は気が付いたら逃げてやがった。まあ、これだけ実力差があんなら、それも当然か。
「ちっ。役立たずどもが」
「さあどうする? 大人しくすんならよ、こいつらみてえにはしないでやるぜ」
「ぐっ。……ひゃーひゃっひゃっひゃぁ!」
うわー。ついに狂っちゃったかなー。この世に存在する人間とは思えない笑い声だ。
「いやいや、むしろ感謝してるぜ、チビネズミ。これで盗みの分け前は全部俺のもんだ」
「へー、思ってた数倍はクズだな、顔面汚染」
「言ってろや」
笑みを浮かべたまま、利き腕を失った仲間のほうへ向かいやがった。んだよ、助けんじゃねえか。
「おらよ!!」
って、おいおい! 仲間の首をへし折りやがった!!
「や、やめろ! やめてくれー!!」
二人目。ここまでのクズはめずらしいぜ。こいつには遠慮はいらねえな。ん? なんかブルブル体に振動が伝わってくると思ったら、メルリか。いつの間に俺の腕をつかんでんだよ。ったく。
「メルリ、下がってろ。別に逃げてもかまわんぜ、俺は」
「で、でも私、ラットさんを騙して……」
「目標のためにそこまでしたんだろ。俺はよ、そういうのは案外嫌いじゃねえぞ。それにな、全然困ってねえから、俺」
「いやいや、ドゲスは長年冒険者をしているんです! 危険ですよ!」
「そうそう、危険だから下がってろって言ってんだ俺は」
「ふう、待たせたな。じゃ、二人そろって死んでくれ」
奴の武器は、でっけえ剣だな。なんか、包丁みてえだけど。さて、お手並み拝見といきますか。
「おらぁあぁ!!」
雄たけびとともに突っ込んできやがった。脳みそまで肉が詰まってんのかね。こんなん受け止めて……。
「うおっ!!」
なんだこの力は! 危ねえ。途中で受け流さなかったらやられてたぞ。
「へっ。今頃力の差に気が付いたか」
マジかよ。顔が怖いだけで大したこたねえと思ってたがよ。こりゃ苦戦しそうだな。
「ま、僕でも楽勝だけどね」
「だよな、ヨチヨチ歩きの赤ちゃんが相手にするには丁度いい魔物だ」
そういってるのは大抵、火属性か風属性だ。あいつらは生まれながらに倍率が高えからな。だが、前に親切にしてくれたべルートほどの腕じゃねえな。たぶんだけどよ。やっぱよ、本当に強えやつはコソコソ人の悪口を言ったりしねえんだと思うな、俺は。
「よし、金も入ったし、ちょっと店でも回ってみるかな。メルリ、お前はどうする?」
「いえ、私は用がありますので」
「そっか、じゃあまたな」
たぶんメルリが黒ならよ、これから盗賊たちに会いにいくんだろう。後を付けないのかって? まだ日が高えうちは難しいな。それによ、俺は店主にこの葉っぱについて聞かなきゃなんねえ。……正直な話をしていいか? 俺はまだよ、心のどこかでメルリは白だって思いてえんだ。もしかしたら、夜にしかとれねえ獲物がいてよ、それに必要な素材、ってことも考えられる。……まあ、盗賊が暴れだした時期とあまりにも合致し過ぎてるがな。もちろん、コリンかアンドレに相談するって手もあんだけどよ、できれば自分である程度の証拠を掴みてえんだ。
「よう、店主」
「おう、闇属性。また塗り薬か?」
「ああ、買わせてもらうよ。大樹海はあちこち擦り傷ができっからな」
「そりゃそうだ。人の手が入ってないところばかりだからな。毎度」
実際、塗り薬はかなり重宝する。余裕ができたら魔法の効果がある回復薬も買いてえが、それ一つでしばらくは野宿になっちまう高級品だ。だからよ、塗り薬以外にも包帯なんかも買った。店主の奴、俺があれこれ買うたびに笑顔が増えていきやがる。わかりやすいやつだ。
「毎度どうも! 今後ともご尾贔屓にな!」
「おう。ここで優先的に買わせてもらうぜ。で、一つ質問なんだが、いいか?」
「ああ。なんなりと」
「これ、なんだかわかるか?」
店主に例の枯れ葉を見せると、顔色が変わった。
「おお、珍しい。最近はめっきり見かけなくなったね」
「そうなのか?」
「……ま、いいか。あんたを騙して安値で買い取ることもできただろうが、あんたはお得意様だ。いいかい、これにはね、魔法の睡眠作用があるんだ」
「睡眠作用?」
「そう。これを粉になるまですり潰して部屋にまけば、朝までぐっすり眠れるってわけだ。健康に害はないし、変な臭いもしない。それなりに高く売れるよ、これは。王都でも一時期人気が高かったんだが、生息場所が移るからね~、これは」
「そっか、ありがとな」
「おいおい、売らないのかい? 高く買うよ?」
「今度売らせてもらうぜ。しばらく待っててくれ」
やっぱりな。あの枯れ葉を相当数手に入れてるのに店に出てねえってことは、それ以上の価値を生み出すのに使われてるってことだ。だって考えてもみろよ。あれを小出しに売るだけでもよ、大儲けできるわけだろ? それを売らねえってんだからよ、それはつまり、そういうことなんだろうよ。後はどう対策をするか、だが……。いや、焦っちゃいけねえ。メルリと仲良くなって、情報を集めねえとな。
その夜、早速チャンスがやってきたようだ。昼寝して体力も万全だからよ、メルリが動かねえか、廊下に耳を澄ませてたんだよ。そしたらよ、夜中にメルリが廊下を歩く音が聞こえた。あいつ、体が軽いからな。注意して聞けば足音でわかんだよ。この安宿の床は軋むから余計にな。
宿をでた扉の音に合わせて、こちらも動き出す。……なんか、こういうのは楽しいな。しかもよ、夜は闇属性の俺にとって好都合だ。気配も消せるし夜目もきく。暗いところを通りながら尾行すればよ、まず気づかれることはねえ。
んで、あいつがどこへ向かったかというと……おいおい、町から離れちまうのか? こっちは大樹海のほうだが……。よし、今日は月明かりも小せえからな、あたりは真っ暗だ。何もかも俺に都合がいい。お、道を外れやがった。ここらで盗賊どもと合流すんのか? あ、でもよ、メルリが俺と冒険してる間も盗賊被害は出てたよな? ってことは……例の枯れ葉を取引してんのかもな。今日はその姿を確認するだけでいい。そしたらよ、流石にコリンかアンドレに相談してよ、盗賊団を一網打尽にしてやろう。それにしても随分奥までいきやがる。町で盗みに入るのによ、こんな遠くで全員集合ってか? 用心深いこって。あっ! 急に走りやがった!
ぐ! なんだ? 急にまぶしく……。
「ようこそ、地獄へ」
この明かりは松明か……。そんで、今の声の主は……。
「あ! 顔面凶器!!」
「誰が顔面凶器だ! ドゲスだ! 覚えておけ! ……まあもっとも、お前はすぐにあの世行きになるわけだがな。ドブネズミちゃん」
まぶしいと思ったらよ、周りに四人……いや、五人も盗賊がいやがる。その中の一人は……言わなくてもわかるよな?
「やっぱり、バカですね、ラットさん。私のことを探ったりしなければ、こんなことにはならなかったのに」
「バレバレだったわけか。メルリ」
「喧嘩は弱くても、冒険者としては私の方が先輩です。……なんて、言える立場じゃないですね」
「おお、結構大きな声がでるじゃねえかメルリ。じゃあ、最後に聞かせろよ。お前、絵描きの夢も嘘ってことはねえよな」
「……嘘なわけ、ないじゃないですか。だからラットさん。私の目標のため、あなたにはここで死んでもらいます!」
「よお、もういいか? さ、なぶり殺しの時間だ……」
ドゲスの顔がよりゲスになってんな。ここまでくると、一つの芸だろ。あの顔ならよ、ムキムキリスも怖がって逃げんだろぜ。
「え?」
「そんで、メルリ。てめえももう用済みだ」
「きゃっ!!」
ドゲスの奴、メルリもこっちに放りやがった。なるほど、お前も十分バカだったんだな。メルリ。
「そ、そんな! ちゃんと協力してきたのに!」
「いやぁ。もうあの周辺が危険だって話は浸透してるからなぁ。それに、お前そこのネズミに気づかれてるじゃねえか。そんな無能はいらねえんだよ。そうだ、さっきのお前の台詞を借りてやろう。俺たちの目標のために、ここで死んでくれ、メルリ」
周りのやつらが笑いやがる。いやいや豪快な笑いだけどよ、流石にこれはないわな。
「メルリ。お前は人を見る目がねえな。だがな、運だけはよかったようだぜ」
「え?」
一気に部屋ともう一人の俺のイメージを鮮明に思い出す。だが、もちろん深く探りすぎるな。
「ラットさん、どうしたんですか?」
「ごちゃごちゃうるせえ! お前ら、いけぇ!」
四方からドゲスの手下どもが攻めてくる。ドゲスは松明の火に照らされて、もともとドギツイ顔がさらに悪くなっていやがる。よし、ちゃんと周りは見えてるな。
「ぎゃ!」
まず一人。こいつら、これで本気なのか? ああ、そういや冒険者でうだつが上がらなかった奴が盗賊になるんだったな。にしても、これならリスの方が強えんじゃね?
「な、なんだこいつ! 闇属性のくせ、ぐわぁ!」
はい二人。簡単に斬れるな、こいつら。いや、また俺の力が上がってんのか。
「ど、ドゲスさん! こいつ、やばわっ!!」
これで三人。全員利き腕を斬り落としてやったからな。これでもう、悪さはできねえだろ。ってか、ほっときゃ死ぬな、これ。
「お、おいお前、待て!」
残りの一人は気が付いたら逃げてやがった。まあ、これだけ実力差があんなら、それも当然か。
「ちっ。役立たずどもが」
「さあどうする? 大人しくすんならよ、こいつらみてえにはしないでやるぜ」
「ぐっ。……ひゃーひゃっひゃっひゃぁ!」
うわー。ついに狂っちゃったかなー。この世に存在する人間とは思えない笑い声だ。
「いやいや、むしろ感謝してるぜ、チビネズミ。これで盗みの分け前は全部俺のもんだ」
「へー、思ってた数倍はクズだな、顔面汚染」
「言ってろや」
笑みを浮かべたまま、利き腕を失った仲間のほうへ向かいやがった。んだよ、助けんじゃねえか。
「おらよ!!」
って、おいおい! 仲間の首をへし折りやがった!!
「や、やめろ! やめてくれー!!」
二人目。ここまでのクズはめずらしいぜ。こいつには遠慮はいらねえな。ん? なんかブルブル体に振動が伝わってくると思ったら、メルリか。いつの間に俺の腕をつかんでんだよ。ったく。
「メルリ、下がってろ。別に逃げてもかまわんぜ、俺は」
「で、でも私、ラットさんを騙して……」
「目標のためにそこまでしたんだろ。俺はよ、そういうのは案外嫌いじゃねえぞ。それにな、全然困ってねえから、俺」
「いやいや、ドゲスは長年冒険者をしているんです! 危険ですよ!」
「そうそう、危険だから下がってろって言ってんだ俺は」
「ふう、待たせたな。じゃ、二人そろって死んでくれ」
奴の武器は、でっけえ剣だな。なんか、包丁みてえだけど。さて、お手並み拝見といきますか。
「おらぁあぁ!!」
雄たけびとともに突っ込んできやがった。脳みそまで肉が詰まってんのかね。こんなん受け止めて……。
「うおっ!!」
なんだこの力は! 危ねえ。途中で受け流さなかったらやられてたぞ。
「へっ。今頃力の差に気が付いたか」
マジかよ。顔が怖いだけで大したこたねえと思ってたがよ。こりゃ苦戦しそうだな。
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