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第一章 ~騎士団~
王都へ
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さて、出立の日だ。
学園は王都にあるので、ここからだと馬車で2、3日かかる。
もっとも、夜は盗賊などが出て危険だから、昼間のうちしか進めないらしいけど。
そのため、途中別の町に泊まったりする。
村のほかにはこの町しか来たことがなかったから、楽しみだ。
試験は、一応保護者付きで行かないといけないので、団長に付いてきてもらうことになった。
試験の翌日にクラスが発表され、そのまま王都で道具を揃えてから帰るらしい。
揃えたら帰るのもよし、そのまま保護者と別れ学園の寮に入るのもよしで、入学式までは自由にしてて良いんだってさ。
「おい、さっさと乗り込め。出立するぞ。」
団長に急かされ、ボーッとしていた意識を戻す。
「今乗るから、急かすなよ。」
俺は慌てて騎士団のみんなに挨拶をして、馬車に乗り込んだ。
ここまで帰ってくるのは遠いので、俺はこのまま卒業まで王都で暮らすことになる。
少し寂しい気がするが、長期休暇には帰ってくるんだし、あまり気にしないようにする。
「ユウト、学園で頑張ってきてくださいね。応援してます。」
副団長が激励してくれる。
「そーだぞ、ユウト。俺らが応援してっからよ。頑張って来い。」
「オメェに応援されちゃあ、頑張るもんも頑張れねぇよなぁ。応援は俺に任せとけ。」
「うっせ!お前も似たようなもんだろ。」
いつもの掛け合いで、みんなが励ましてくれる。
そんなことがとても嬉しくて、いつのまにか視界がぼやけていた。
泣かないように必死で上を向き、笑顔で振り返る。
「行ってきます!頑張ってくるよ。」
こうして俺は、騎士団を旅立った。
~~~~~~
セバスさんは、サイリさんにつきっきりで来れないらしい。
なので、セバスさんの息子のカナラさんが御者として来てくれた。
セバスさんによく似た、優秀な人であることが雰囲気から伝わって来る。
「カナラさん、後どれくらいで着きそうですか?」
「天候にも恵まれているので、この分だと今日中には1つ目の町に着きそうです。」
「そうか、早く着く分には問題ないな。時間が余ったら俺が王都を案内してやろう。」
「本当か!楽しみにしてる。」
1つ目の町は、運河が印象的な交易都市だった。
残念ながら、夕方に到着して、朝早くに出立をしたので、町を見ることは出来なかった。
市場とかが有名らしいから、よりたかったのに。
いやー、本当に残念だな。
せっかくここまで来たんだから、行きたかったな。
馬車の窓から外を見ながら、少々不機嫌になってしまう。
そんな俺の顔を見た団長は、笑いながら約束してくれた。
「今回は、早めに王都へ向かわなければいけないから直ぐに出立するが、次に来たときにはゆっくり回ろうな。」
「その約束忘れないでよ?楽しみにしているからな!」
こうして馬車に揺られつづけ、途中は町に着かず、野宿したりして2日かけて王都に到着した。
「団長、王都でも宿に泊まるのか?」
「いや、仮にも伯爵だからな。一応、王都にも屋敷くらいあるさ。」
ふーん。そんなもんなのか。
やっぱり、貴族の見栄って必要なんだな。
めんどくせぇ。
王都の門から馬車で揺られること30分。
騎士団のある町のよりは小さいが、それでも立派な屋敷が建っていた。
門は開いていて、庭が広がっている。
カナラさんは慣れた様子で門の中に入り、俺たちは屋敷の扉の前で馬車を降りた。
そこには、使用人たちが出迎えをするためか、ズラリと並んでいる。
「お久しぶりでございます当主様。私たち使用人一同、当主様のご到着を心よりお待ちしておりました。」
先頭に立っていた青年が言った。
団長も、心得たように頷く。
「しばらくぶりだな、みんな。」
うぉ、団長が当主様らしくなってる!
猫かぶるの上手いな。
「当主様におかれましては、お元気そうでなによりです。」
「そうか。お前も変わっていないな。相変わらず、真面目なようだ。」
「お褒めにいただき光栄でございます。」
えっ?今の褒めてたの?
真面目って、、、褒めてないだろ絶対。
俺は団長の後ろで、交わされている挨拶をボーッと眺めていた。
「して、こちらの方はどなたでしょうか。」
ようやくこっちに気づいたようだ。
いい加減、無視してるのかと思ったぜ。
「おお、コイツか。手紙にも書いたが、今回俺の養子になったユウトだ。」
「なるほど、この方があのユウト様ですか。ようこそいらっしゃっいましたユウト様。私はセバスの長男、ラダーでございます。」
へぇ、カナラさんって次男だったのか。
というかセバスさんの一族って、みんな団長の家に仕えてるんだな。
そんなことを思いながら、俺もセバスさんに習った貴族風の挨拶を返す。
「初めまして。私はこの度ガルディア・バラン様の養子となりました、ユウト・バランと申します。」
言い終えてから、胸に手を当てて一礼する。
セバスさんにお墨付きを貰っただけあって、一応様にはなっていたようだ。
ラダーさんは、驚いたようにこっちを見ている。
おおかた、血筋のしっかりしていない平民の子なんか、粗野なものだとでも思っていたんだろう。
まあ、学園に行ったらそんな奴らはたくさん出てくるだろうしな。
文句の付けようのない対応をしてやろうじゃねぇか。
決意を固めたところで、目が点になっていたラダーさんは再起動したようだ。
「長旅でお疲れでしょう。どうぞお屋敷でおくつろぎなさいませ。」
その言葉とともに、何人かのメイドが進み出て、屋敷を案内してくれた。
うん、屋敷はやっぱり広かった。
案内を終えて、自分に与えられた部屋に入ると、俺も疲れていたようですぐに寝てしまった。
そのあと、夕飯を食べたり風呂に入ってからまた寝ました。
風呂は部屋に備えつきで、久しぶりに1人でのんびり浸かれた。
旅の疲れが溶けていったような気がする。
うん、やっぱり旅は無駄に疲れるもんなんだね。
馬車で揺られすぎて、ケツが痛い。
まあ、そんなこんなで初日を消化して試験まで残り2日。
さあ、準備をしておこうじゃないか。
学園は王都にあるので、ここからだと馬車で2、3日かかる。
もっとも、夜は盗賊などが出て危険だから、昼間のうちしか進めないらしいけど。
そのため、途中別の町に泊まったりする。
村のほかにはこの町しか来たことがなかったから、楽しみだ。
試験は、一応保護者付きで行かないといけないので、団長に付いてきてもらうことになった。
試験の翌日にクラスが発表され、そのまま王都で道具を揃えてから帰るらしい。
揃えたら帰るのもよし、そのまま保護者と別れ学園の寮に入るのもよしで、入学式までは自由にしてて良いんだってさ。
「おい、さっさと乗り込め。出立するぞ。」
団長に急かされ、ボーッとしていた意識を戻す。
「今乗るから、急かすなよ。」
俺は慌てて騎士団のみんなに挨拶をして、馬車に乗り込んだ。
ここまで帰ってくるのは遠いので、俺はこのまま卒業まで王都で暮らすことになる。
少し寂しい気がするが、長期休暇には帰ってくるんだし、あまり気にしないようにする。
「ユウト、学園で頑張ってきてくださいね。応援してます。」
副団長が激励してくれる。
「そーだぞ、ユウト。俺らが応援してっからよ。頑張って来い。」
「オメェに応援されちゃあ、頑張るもんも頑張れねぇよなぁ。応援は俺に任せとけ。」
「うっせ!お前も似たようなもんだろ。」
いつもの掛け合いで、みんなが励ましてくれる。
そんなことがとても嬉しくて、いつのまにか視界がぼやけていた。
泣かないように必死で上を向き、笑顔で振り返る。
「行ってきます!頑張ってくるよ。」
こうして俺は、騎士団を旅立った。
~~~~~~
セバスさんは、サイリさんにつきっきりで来れないらしい。
なので、セバスさんの息子のカナラさんが御者として来てくれた。
セバスさんによく似た、優秀な人であることが雰囲気から伝わって来る。
「カナラさん、後どれくらいで着きそうですか?」
「天候にも恵まれているので、この分だと今日中には1つ目の町に着きそうです。」
「そうか、早く着く分には問題ないな。時間が余ったら俺が王都を案内してやろう。」
「本当か!楽しみにしてる。」
1つ目の町は、運河が印象的な交易都市だった。
残念ながら、夕方に到着して、朝早くに出立をしたので、町を見ることは出来なかった。
市場とかが有名らしいから、よりたかったのに。
いやー、本当に残念だな。
せっかくここまで来たんだから、行きたかったな。
馬車の窓から外を見ながら、少々不機嫌になってしまう。
そんな俺の顔を見た団長は、笑いながら約束してくれた。
「今回は、早めに王都へ向かわなければいけないから直ぐに出立するが、次に来たときにはゆっくり回ろうな。」
「その約束忘れないでよ?楽しみにしているからな!」
こうして馬車に揺られつづけ、途中は町に着かず、野宿したりして2日かけて王都に到着した。
「団長、王都でも宿に泊まるのか?」
「いや、仮にも伯爵だからな。一応、王都にも屋敷くらいあるさ。」
ふーん。そんなもんなのか。
やっぱり、貴族の見栄って必要なんだな。
めんどくせぇ。
王都の門から馬車で揺られること30分。
騎士団のある町のよりは小さいが、それでも立派な屋敷が建っていた。
門は開いていて、庭が広がっている。
カナラさんは慣れた様子で門の中に入り、俺たちは屋敷の扉の前で馬車を降りた。
そこには、使用人たちが出迎えをするためか、ズラリと並んでいる。
「お久しぶりでございます当主様。私たち使用人一同、当主様のご到着を心よりお待ちしておりました。」
先頭に立っていた青年が言った。
団長も、心得たように頷く。
「しばらくぶりだな、みんな。」
うぉ、団長が当主様らしくなってる!
猫かぶるの上手いな。
「当主様におかれましては、お元気そうでなによりです。」
「そうか。お前も変わっていないな。相変わらず、真面目なようだ。」
「お褒めにいただき光栄でございます。」
えっ?今の褒めてたの?
真面目って、、、褒めてないだろ絶対。
俺は団長の後ろで、交わされている挨拶をボーッと眺めていた。
「して、こちらの方はどなたでしょうか。」
ようやくこっちに気づいたようだ。
いい加減、無視してるのかと思ったぜ。
「おお、コイツか。手紙にも書いたが、今回俺の養子になったユウトだ。」
「なるほど、この方があのユウト様ですか。ようこそいらっしゃっいましたユウト様。私はセバスの長男、ラダーでございます。」
へぇ、カナラさんって次男だったのか。
というかセバスさんの一族って、みんな団長の家に仕えてるんだな。
そんなことを思いながら、俺もセバスさんに習った貴族風の挨拶を返す。
「初めまして。私はこの度ガルディア・バラン様の養子となりました、ユウト・バランと申します。」
言い終えてから、胸に手を当てて一礼する。
セバスさんにお墨付きを貰っただけあって、一応様にはなっていたようだ。
ラダーさんは、驚いたようにこっちを見ている。
おおかた、血筋のしっかりしていない平民の子なんか、粗野なものだとでも思っていたんだろう。
まあ、学園に行ったらそんな奴らはたくさん出てくるだろうしな。
文句の付けようのない対応をしてやろうじゃねぇか。
決意を固めたところで、目が点になっていたラダーさんは再起動したようだ。
「長旅でお疲れでしょう。どうぞお屋敷でおくつろぎなさいませ。」
その言葉とともに、何人かのメイドが進み出て、屋敷を案内してくれた。
うん、屋敷はやっぱり広かった。
案内を終えて、自分に与えられた部屋に入ると、俺も疲れていたようですぐに寝てしまった。
そのあと、夕飯を食べたり風呂に入ってからまた寝ました。
風呂は部屋に備えつきで、久しぶりに1人でのんびり浸かれた。
旅の疲れが溶けていったような気がする。
うん、やっぱり旅は無駄に疲れるもんなんだね。
馬車で揺られすぎて、ケツが痛い。
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