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第5話 2%の男 左腕だけアンドロイド

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「あのピエロ野郎、戦闘スキルはかなり低いようです。リロードの際、一切遮蔽物に身を隠していません。リロードの瞬間を狙うべきです。」

ジャンピーが少しリロードをもたつくのを見ると、風見もグロック19で反撃した。身を隠さなければ、ただの的。風見の撃った弾5発は全て命中し、崩れ落ちるように倒れた。

「バカが!遮蔽物に隠れずにリロードするから5発全弾当てたぜ…ん…?」

ジャンピーは胴体に5発の銃弾を浴びながら、ゆっくり立ち上がり、ようやくリロードを完了した。

「どうやら改造されているようです。通常の対処法では制圧出来ないようです。」

胴体に銃弾を受けたのにも関わらず、平然とした表情で、ジャンピーはまたMP7を撃ってきた。

「全弾当たったんじゃねぇのかよっ!何で立ってくるんだよ!」

「機能停止にするには頭部の破壊以外ありません。リロードの隙をついて距離を詰めてください。」

ピエロのは不気味な笑い声をあげながら、撃ちまくっている。コミュニケーションは取れそうにない。

「仕方ない、KeiRa、左腕を使う。」

「最善の選択です。サッサと始末しましょう。作戦ですが、まず…」

KeiRaの作戦を聞く前に、風見はダストボックスの影から出て、ジャンピーに向かって走り出していた。5発撃ち込むと、ジャンピーは片膝をついた。そのまま立ちあがろうと前を見た瞬間…!目の前には風見の左の拳があった。その拳はジャンピーの顔面のど真ん中に叩き込まれた!

ジャンピーはダストボックスまで吹き飛んでいった。風見に殴られたダメージとダストボックスに衝突した衝撃で、ジャンピーは立ち上がることが出来なくなった。ジャンピーの頭部は、大きく凹み、激しく損傷していた。

「もう…終わりだよな…?立ち上がるなよ?」

激しく損傷したジャンピーの体からは白い煙が上がっていた。アンドロイドの弱点である頭部を破壊された為、もう動くことはなかった。


「風見刑事、良いニュースと悪いニュースがあります。」

「今度は何だよ…。今疲れてるから良いニュースだけにしてくれよ。」

「良いニュースは敵アンドロイドの機能の完全停止を確認しました!お疲れ様でした!このアンドロイドの残骸は坂田氏が殺された事件に関して重要な証拠となります。」

「じゃあ悪い方は何だよ…。聞いてやるよ…。」

「アンドロイド化した左腕でフルパワーでぶん殴ったので、頭部にある記憶媒体が復元不能になった可能性が高いです。ジャンピーの過去の行動がわからなくなりました。」


「あのピエロはすぐそこまで来てたぞ?判断が遅れていたら俺たちが蜂の巣にされていたところだった!」


「頭部と胴体を切り離せば良かったんですけど。
はぁ…作戦を最後まで聞いてくださいよ…。」


「はぁ…勘弁してくれよ…。」

「あともう1件、輪島劇団所有のアンドロイドを破壊しましたので、器物破損での訴訟の可能性があります。弁護士を雇うことをお勧めします。」

「はあ?マシンガン撃たれて殺されかけたんだぞ?どう見ても正当防衛だろうが。」

「目撃者はいませんが、幸い私がいます。訴訟になっても私が弁護士代わりになりますから安心して下さい。」

(AIが証拠録画に弁護までやってくれるなんて、時代も進んだもんだな。) 

「あっ、あと1つ良いニュースを伝え忘れてました。私は先ほど戦闘中、98%の確率で死にます、と言いました。しかしピエロ野郎との戦闘に勝利しましたので、風見刑事は生き延びた2%の男となりました。おめでとうございます!」
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