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赤い黄泉①〜花に誘われる〜
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赤い黄泉、それは世界で1つしかない珍しい植物だと言われている。とても美しい赤い花を咲かせるが、所有者を黄泉の国へと連れていくという噂がある。植物マニアの間では、伝説級の植物なのだ。
つい最近、赤い黄泉がオークションにかけられ、落札されたようだった。朋子は植物マニアとしてなんとしても手に入れたかったが、実に残念だった。落札したのが、植物マニア仲間の奈子だと知ったのは、奈子の家にお茶しに行ったときだった。
奈子の家の庭の奥に、赤い黄泉はあった。花から茎、葉まで綺麗な赤だった。眺めていると、何かが自分を誘っている感覚になった。お茶しているときも奈子の話は頭に入ってこなかった。
「ねぇ!朋子!話聞いてる?」
「ああ…ごめん…。」
「赤い黄泉が気になっているみたいだけど、あげないからね。苦労して手に入れたんだから。」
奈子はコネと大金を準備して手に入れたと話した。朋子にはコネも資金もなかった。
赤い黄泉への欲求を抑えられなかった朋子はその夜、奈子の家の庭に忍び込んだ。奈子の庭にも数え切れない程の珍しい観葉植物があったが、赤い黄泉はすぐに見つかった。それは夜でも一際赤く輝いていた。
喉から手が出るほどの欲求からかなのか、それとも赤い黄泉が誘惑してくるのか、それはわからなかった。朋子の頭には「赤い黄泉が欲しい。」ただそれだけだった。だからベランダからこちらを見ている奈子に気づかなかった。
「あなた何をしているの?不法侵入よ?」
その言葉を耳にし、朋子はようやく自分のしようとしていることを認識した。
「赤い黄泉を盗むつもり?!」
「えっ??」
朋子は既に赤い黄泉の鉢植えを大事に抱え上げていた。奈子はすぐに取り返そうとし、鉢植えを奪い返そうとした。 朋子は鉢植えから手を離さなかった。今手を離せば、2度と赤い黄泉には会えない気がした。
揉み合いになった末、奈子に取り返されてしまった。
「2度とこの家に近づかないで!」
朋子は奈子の家から追い出された。しかし諦め切れなかった。赤い黄泉が自分を呼んでいるように思えた。
朋子は門を乗り越え、奈子を後ろから突き飛ばした。一瞬の出来事だった。奈子はベランダの段差に頭をぶつけて動かなくなった。
つい最近、赤い黄泉がオークションにかけられ、落札されたようだった。朋子は植物マニアとしてなんとしても手に入れたかったが、実に残念だった。落札したのが、植物マニア仲間の奈子だと知ったのは、奈子の家にお茶しに行ったときだった。
奈子の家の庭の奥に、赤い黄泉はあった。花から茎、葉まで綺麗な赤だった。眺めていると、何かが自分を誘っている感覚になった。お茶しているときも奈子の話は頭に入ってこなかった。
「ねぇ!朋子!話聞いてる?」
「ああ…ごめん…。」
「赤い黄泉が気になっているみたいだけど、あげないからね。苦労して手に入れたんだから。」
奈子はコネと大金を準備して手に入れたと話した。朋子にはコネも資金もなかった。
赤い黄泉への欲求を抑えられなかった朋子はその夜、奈子の家の庭に忍び込んだ。奈子の庭にも数え切れない程の珍しい観葉植物があったが、赤い黄泉はすぐに見つかった。それは夜でも一際赤く輝いていた。
喉から手が出るほどの欲求からかなのか、それとも赤い黄泉が誘惑してくるのか、それはわからなかった。朋子の頭には「赤い黄泉が欲しい。」ただそれだけだった。だからベランダからこちらを見ている奈子に気づかなかった。
「あなた何をしているの?不法侵入よ?」
その言葉を耳にし、朋子はようやく自分のしようとしていることを認識した。
「赤い黄泉を盗むつもり?!」
「えっ??」
朋子は既に赤い黄泉の鉢植えを大事に抱え上げていた。奈子はすぐに取り返そうとし、鉢植えを奪い返そうとした。 朋子は鉢植えから手を離さなかった。今手を離せば、2度と赤い黄泉には会えない気がした。
揉み合いになった末、奈子に取り返されてしまった。
「2度とこの家に近づかないで!」
朋子は奈子の家から追い出された。しかし諦め切れなかった。赤い黄泉が自分を呼んでいるように思えた。
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